5/21 関西電力大飯原発3,4号機運転差し止め訴訟 福井地裁判決謄本
http://www.cnic.jp/5851
判決文一部書き出し
第4 当裁判所の判断
1.はじめに
ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命, 身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には, その被害の大きさ, 程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。 このことは, 当然の社会的要請であるとともに, 生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、 本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
個人の生命, 身体, 精神及び生活に関する利益は, 各人の人格に本質的なものであって, その総体が人格権であるということができる。 人格権は憲法上の権利であり (13条, 25条) , また人の生命を基礎とするものであるがゆえに, 我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。 したがって, この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは, その侵害の理由、根拠、侵害者の過失の有無や差止めによって受ける不利益の大きさを問うことなく, 人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが, その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき, その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
5.冷却機能の維持について
この地震大国日本において, 基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというので'あれば、 そこでの危険は, 万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。 このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあま り にも楽観的といわざるを得ない。
6.閉じこめるという構造について (使用済み核燃料の危険性)
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていく ものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え, 国民の安全が何より も優先されるべきであるとの見識に立つのではなく, 深刻な事故はめったに起きないだろう という見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。
7.本件原発の現在の安全性 と 差止めの必要性について
以上にみたよ うに, 国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ, 確たる根拠の ない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。
前記4に摘示した事実からすると, 本件原子炉及び本件使用済み核燃料プール内の使用済み核燃料の危険性は運転差止めによって直ちに消失するものではない。 しかし, 本件原子炉内の核燃料はその運転開始によって膨大なエネルギー離を発出することになる一方, 運転停止後においては時の経過に従って確実にエネルギーを失っていく'のであって, 時間単位の電源喪失で重大な事故に至るようなことはなくなり、破滅的な被害をもたらす可能性がある使用済み核燃料も時の経過に従って崩壊熱を失っていき, また運転停止によってその増加を防ぐことができる。そうすると, 本件原子炉の運転差止めは上記具体的危険性を軽減する適切で有効な手段であると認められる。
現在, 新規制基準が策定され各地の原発で様々な施策が採られようとしてい るが, 新規制基準には外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられ るまで強度を上げる, 基準地震動を大幅に引き上げこれに合わせて設備の強度を高める工事を施工する, 使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む等の措置は盛り込まれていない(別紙4参照) 。 したがって, 被告の再稼動申請に基づき, 5, 6に摘示した問題点が解消されることがないまま新規制基準の審査を 通過し本件原発が稼動に至る可能性がある。 こうした場合, 本件原発の安全技術及び設備の脆弱性は継続することとなる。
8.原告らのその余の主張について
原告らは, 地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発 には欠陥があると主張し(訴状第5の3、第2準備書面第3、第4準備書面第2) , また、冷却材喪失事故発生時においそ冷却水の再循環サンプが機能しないという安全技術上の欠陥 (訴状第5の1、第7準備書面1) , 3号機におけ る溶接部の残留応力によるクラツク及び冷却水漏洩の発生の危険性 (訴状第5の2, 第7準備書面2) , 津波による危険 (第5準備書面、第9準備書面) ,テロによる危険 (第1準備書面第3の3, 第16準備書面第5) , 竜巻の危険(第1準備書面第3の3) 第16準備書面第4) 等さまざまな要因による危険性を主張している。 しかし, これらの危険性の主張は選択的な主張と解され,上記の地震の際の冷やすという機能及び閉じ込めるという構造に欠陥が認めら れる以上, 原告らの主張するその余の危険性の有無について判断の必要はないし、環境権に基づく請求も選択的なものであるから (第6回口頭弁論期日調書参照) , 同請求の可否についても判断する必要はない。
原告らは, 上記各諸点に加え, 高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず、同廃棄物の危険性が極めて高い上、その危険性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると, この処分の問題が将来の世代に重いつけを負わせることを差止めの理由としている (第3の4) 。 幾世代にもわたる後の人々に対ずる我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について, 現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に, この問題を判断する資格が与えられているかについては疑問があるが, 7に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。
9.被告のその余の主張について
他方, 被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性, コストの低減につながると主張するが (第3'の5) , 当裁判所は, 極めて多数の人の生存そのものに関 わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり, その議論の当否を判断すること自体, 法的には許されないことであると考えている。 我が国における原子力発電への依存率等に照らずと、本件原発の稼動停止によって電力供給が停止し, これに伴なって人の生命旦身体が危険にさらされるという因果の流れはこれを考慮ずる必要のな浴状況であるといえる。
被告の主張においても, 本件原発の稼動停止による不都合は電力供給の安定性, コス トの問題にとどまっている。 このコス トの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが, たとえ本件原発の運転停止によつて多額の貿易赤字が出るとしても, これを国富の流出や喪失というべきではなく, 豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり, これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
また, 被告は, 原子力発電所の稼動がCO2 (二酸化炭素) 排出削減に資すろもので環境面で優れている旨主張するが (第3の6) , 原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすきまじいものであって, 福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害, 環境汚染であることに照らすと, 環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。
10.結論
以上の次第であり) 原告らのうち, 大飯原発から2 5 0キロメートル圏内に居住する者 (別紙原告目録1記載の各原告) は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから, これらの原告らの請求を認容すべきである。
原告らは, 本件原発で大事故が起きれば, 周囲の原子力発電所の従業員も避難を余儀なく されること等によりその原子力発電所が事故を起こし、同様のことが繰り返される結果、日本国民全員がその生活基盤を失う よ うな被害に発展 すると主張している。また、チェルノ ブイ リ事故においては放射性物質に汚染された地域がチェルノブイリから1000キロメートルを超える地点まで存在するから原告ら全員が本件請求をできると主張している (第3の'7) 。 これらの主張は理解可能なものではあるが、ここで想定される危険性は本件原発とい う特定の原子力発電所の法的な差止請求を基礎付けるに足りる具体性のある危険とは認められない。 したがって, 大飯原発から2 5 0キロメー.トル圏外に居_住する原告ら(別紙原告目録2記載の各原告) の請求は理由がないものとして, これを棄却することとする。
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Scientific Reports 4, Article number: 4946 doi:10.1038/srep04946
http://www.nature.com/srep/2014/140515/srep04946/full/srep04946.html
実験内容
1.ヤマトシジミが幼虫期に食べるエサの量を定量化し、内部被爆した線量を算出した。
2.内部被爆した量と死亡率(異常率)の関係を調べ、半数のヤマトシジミが死亡する(異常が生じる)線量を算出した。
3.内部被爆させた蛹(さなぎ)に含まれる放射性セシウムの線量を定量化し、体内に蓄積しているか確かめた。
4.ヤマトシジミの内部被爆実験から考えられる放射能汚染の生物学的影響について考察した。
結論
低線量で影響が急激に増大する。
広野、福島、飯舘のヤマトシジミは相当量の内部被曝を受けている。
維持率・蓄積率は低線量ほど大きい。
大瀧研究室サイト
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/
健康調査をおこなったのは、福島県双葉町,宮城県丸森町筆甫地区,滋賀県長浜市木之本町の三か所で、滋賀県の木之本町の住民を基準とし,福島県双葉町や宮城県丸森町の住民の健康状態を比較した。
木之本町よりも、双葉町,丸森町両地区で有意に多かったのは,体がだるい,頭痛,めまい,目のかすみ,鼻血,吐き気,疲れやすいなどの症状であり,特に鼻血が双葉町でオッズ比3.8、丸森町でオッズ比3.5と高くなっていた。
オッズ比が高いということは、福島県の双葉町のほうが、滋賀県の木之本町よりも、3.8倍鼻血が出た率が高いことを表します。
水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染
中地重晴(熊本学園大学教授)
http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/8738/1/661nakachi.pdf
以下、レポートの一部分です。(18ページから19ページ)
(11)双葉町民の健康調査の中間報告
岡山大学大学院環境生命科学研究科の津田敏秀氏,頼藤貴志氏,広島大学医学部の鹿嶋小緒里氏と共同で,双葉町の町民の健康状態を把握するための疫学調査を実施した。
調査の目的は,2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により,近隣住民の健康影響への不安が募っている。福島県においても福島県立医科大学を中心として,県民健康管理調査が行われているが,様々な問題点が指摘されている。今回,我々は,県民健康管理調査ではカバーされていないと思われる様々な症状や疾患の罹患を把握すること,比較対照地域の設定をしっかりと行うことを通して,どのような健康状態が被ばくや避難生活によるものかを評価・検証することを目的として調査を行った。
福島県双葉町,宮城県丸森町筆甫地区,滋賀県長浜市木之本町の3か所を調査対象地域とし,事故後1年半が経過した2012年11月に質問票調査を行った。所属する自治体を一つの曝露指標,質問票で集めた健康状態を結果指標として扱い,木之本町の住民を基準とし,双葉町や丸森町の住民の健康状態を,性・年齢・喫煙・放射性業務従事経験の有無・福島第一原子力発電所での作業経験の有無を調整したうえで,比較検討した。
多重ロジスティック解析を用いた分析結果は,主観的健康観(self-rated health)に関しては,2012年11月時点で,木之本町に比べて,双葉町で有意に悪く,逆に丸森町では有意に良かった。
更に,調査当時の体の具合の悪い所に関しては,様々な症状で双葉町の症状の割合が高くなっていた。双葉町,丸森町両地区で,多変量解析において木之本町よりも有意に多かったのは,体がだるい,頭痛,めまい,目のかすみ,鼻血,吐き気,疲れやすいなどの症状であり,鼻血に関して両地区とも高いオッズ比を示した(丸森町でオッズ比3.5(95%信頼区間:1.2,10.5),双葉町でオッズ比3.8(95%信頼区間:1.8,8.1))。
2011年3月11日以降発症した病気も双葉町では多く,オッズ比3以上では,肥満,うつ病やその他のこころの病気,パーキンソン病,その他の神経の病気,耳の病気,急性鼻咽頭炎,胃・十二指腸の病気,その他の消化器の病気,その他の皮膚の病気,閉経期又は閉経後障害,貧血などがある。両地区とも木之本町より多かったのは,その他の消化器系の病気であった。治療中の病気も,糖尿病,目の病気,高血圧症,歯の病気,肩こりなどの病気において双葉町で多かった。更に,神経精神的症状を訴える住民が,木之本町に比べ,丸森町・双葉町において多く見られた。
今回の健康調査による結論は,震災後1年半を経過した2012年11月時点でも様々な症状が双葉町住民では多く,双葉町・丸森町ともに特に多かったのは鼻血であった。特に双葉町では様々な疾患の多発が認められ,治療中の疾患も多く医療的サポートが必要であると思われた。主観的健康観は双葉町で悪く,精神神経学的症状も双葉町・丸森町で悪くなっており,精神的なサポートも必要であると思われた。これら症状や疾病の増加が,原子力発電所の事故による避難生活又は放射線被ばくによって起きたものだと思われる。
宮城県丸森町は,福島県境に接しており,福島原発事故による放射能汚染地域であり,住民には,放射能汚染脳汚染に関するストレスがかかっており,双葉町民と同様の健康障害が出てきていると考えられる。今後は,この調査と双葉町が実施した動向調査(3月12日から3月中の避難先の記録)から外部被ばくを相対化し,被ばく量との関係を評価する予定である。
本年5月28日に,双葉町のほぼ全域が「帰還困難区域」に指定され,町民は,自宅に5年以上戻れないという宣告を受けた。避難生活が長引く中で,健康管理をどのように進めていくのか,継続して調査したり,町への支援を続けていく予定である。
集団的自衛権の行使容認に関する世論調査
【読売】2014/5/12
行使容認71%
必要はない25%
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140512-OYT1T50017.html?from=ytop_top
【NHK】2014/5/12
「行使できるようにすべきだ」が30%
「行使できるようにすべきでない」が23%
「どちらともいえない」が37%
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140512/k10014392321000.html
読売とNHKが違いすぎる。
読売の行使容認の内訳は、
「全面的に使えるようにすべきだ」が8%
「限定容認論」が63%
大部分が、「限定容認」である。
限定容認の限定の範囲がわからないのに、賛成・反対が判断できるのだろうか?

そのことを、生活の党の小沢代表が記者会見で述べています。
「みんな楽しくHappy♡がいい♪」ブログに書き起こしがあります。
<集団的自衛権>小沢一郎「何を使うの?それは武力でしょ。だから意味が分かってないんじゃないか?メディアも」5/12定例会見(文字起こし)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3712.html
集団的自衛権容認の動き加速、「具体例判明」本当... 投稿者 kotetsu1111國分功一郎:
今、VTRを見てても思ったのですが、どうも誤解があるような気がするんですけど。
日本の集団的自衛の解禁を求めている人たちは、日本の防衛力のために、これが必要だと言っているように見えるんですけども。
しかし、集団的自衛というのは、日本は攻撃を受けていないが、他国が、たとえばアメリカが攻撃を受けているから、その現場、つまり海外に行って、日本が武力行使するというものであって、日本を守るためのものじゃないわけですね。
日本は日本で、日本を守るための権利を持ってますし、それを行使できるわけです。
どういうことかというと、60年間、政府は「憲法9条のもとでも個別的自衛権というのは否定されていないんだ」と解釈してきて、その中に自衛隊もあるわけですよね。
だから、まるで集団的自衛権が認められなければ、防衛ができないとか、防衛が不十分になるかのような印象を与える事例というのは、たぶん今、政府は一生懸命考えているんでしょうけれども、そういうのはまったく誤解を招くものだと言わざるを得ないですよね。
現在は、国際法とか国連憲章で、侵略のための武力行使は、全部否定されて禁止されて違法なわけです。どんな国がやったとしても違法なわけですね。
ただし、国連憲章で3つ武力行使をしてもよいと例外を出していて、一つが国連の安保理の決議に基づく武力行使ですね。これは集団安全保障というやつです。そして、もう一つが個別的自衛、もう一つが集団的自衛ですね。
日本のこれまでの立場というのは、憲法9条があるけれども個別的自衛はできる。ただし、他の2つはできないということだったわけです。
これは簡単に言うとどういうことかと言うと、自衛のために武力行使はしますよ。ただし、海外での武力行使だけはできません。というここが大きな歯止めというか、ストップラインになっていたわけです。
今回、行われようとしていうるのは、このラインを超えるということですよね。
なんの歯止めも無くなってしまうことになるわけですけれども、そうすると、どういうことが起こるかというと、憲法9条というのがいったい何を禁止しているのかが、わからなくなちゃうということですね。
だって侵略戦争なんて禁止されているわけですから。そうなると、憲法9条というものが完全にが空文化する。文字はあるが、何も意味していないものになるということですよね。
だから、ここに改憲をしないで解釈だけを変えるということの恐ろしさがあるわけですね。
法文とうものを、条文というものをまったく空洞化していくことですよね。
これからも、自衛隊をイラクの危ないところに送ったりしながらも、でもまあ一応あそこは非戦闘地域だとかそういうことを言ってですね。なんとがぎりぎり公式見解、公式解釈の範囲内でやってこようと、一応政府はこれまで努力をしてきたわけですけれども。
古館一郎:
はっきり言えば、こじつけに近くても、しばりがある中で、すきまを縫うようにやってきた現実があります。
國分功一郎:
ですよね。一応守ろうとしてきたということがあると思うんですけど、その線すら突破されそうとしているということですよね。
これまでの政府の動きというのを、最後に言いたいんですけど、安倍総理は前の内閣の時、国民投票法案というのを作ったと、しかし、ご自身もお認めになったように、実際今やっても改憲できないんだろう。次は96条に目を付けて総議員の3分の2の賛成といううルールは厳しすぎるから過半数でいいんじゃないかと案を出したんだけど、これはあまりにも乱暴だと、まあ裏ワザみたいな話ですから、完全にこれも総スカンを食らったと。
でも、結局今どうなっているかというと、もう改憲もいいと、で、もう閣僚決定で解釈を変えてしまえばいいと、そういう段階に入っているということですよね。
憲法を国民の手に戻すというスローガンがあったと思うのですけれども、それがいったいどうなってしまったのか。
僕が見てるに、もし本当に改憲がね、こういうことをやらなければいけないけれども、憲法の制約があってできない、だから、改憲が必要だと、きちんと説明して、納得したら、それはじゃあ改憲すべきじゃないですかという立場の国民の人、たくさんいると思いますよ、だから、きちんと議論するということが大切なのに、こそこそと手段だけを変えてこう、逃げ回っているという感じはしますよね。
参議院 内閣委員会186-参-内閣委員会-7号 平成26年04月03日
○山本太郎君 何か、質問ばっかりして、たくらんでいるんちゃうかこいつと思われているかもしれないんですけれども、決して何か文句を付けようとして質問をしているわけではございません。先ほども申し上げましたとおり、もし私たちが、まあ今は一人なんですけれども、私たち未来の仲間も一緒に、何といいますか、政権を担当することになった場合、各府省庁に本当の意味での政治主導を確立するための戦略スタッフ、政務スタッフを何人任命することができるのか知りたいということで、今日はたくさんの質問をさせていただきました。(発言する者あり)済みません。
この法案についてですけれども、まだ質問する機会というのが与えられているという話を聞きましたので、今日はこの件についてはここまでとさせていただきます。
次に、三月十七日の本委員会で質問させていただきました、鹿児島県川内原発再稼働問題について質問させてください。
今年の二月に提出されました衆議院議員菅直人さんの原発の再稼働と地域防災計画に関する質問主意書に対して、政府は、新規制基準には、地域防災計画に係る事項は含まれておらず、同計画については、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的として、災害対策基本法に基づき、都道府県及び市町村において作成等がなされるものであると。政府としては、原子力防災会議の関係府省庁による同計画の作成の支援等を行っていると答弁がありました。
まず、鹿児島県と川内原発三十キロ圏の市町村の原発事故に対する地域防災計画の作成状況について教えていただいてよろしいでしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) お答えします。
薩摩川内市を始めとする川内原発からおおむね三十キロメーター圏内にある九の市町でございますが、地域防災計画及び避難計画が策定済みとなっております。
以上であります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
ちょっとあっさりした感じで寂しかったんですけれども。
例えば、これ原子力防災会議の関係府省庁による支援等を行っているということだったんですけれども、具体的に、その薩摩川内という地域であったり鹿児島という部分に対してはどのような支援というのを政府から、政府というか、この機関から送られたかということをお聞きしてもよろしいでしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) 御指摘のとおり、原子力防災会議の方針に基づきまして、地域ごとに国のワーキングチームがつくられておりまして、そのワーキングチームと地方自治体あるいは関係の地方のいろんな機関が会議を行いまして、いろんな問題点が出てきております。その問題点について、一個一個、一つ一つ個別に解決するよりは、その場において会議をし、論点をはっきりさせ、一気に解決していくというふうな問題でありまして、まさにそういった形で論点の明確化と解決方法明示といったことが一番ポイントであります。
したがいまして、いろんな論点がございます。例えば離島の場合はどうやってそれを逃がすのかという問題もありますし、様々な個別の事情もありますし、また共通の問題としては、やはりいわゆる避難が大変困難な方がいらっしゃいます。その人たちの避難はどうするかの問題等々、様々な問題がございまして、それについて共通の認識の下に国としてできる支援をきちんとやっていくといった趣旨で会議を持って、今徐々に、百三十五市町村のうちの五十八でございますけれども、避難計画ができておるところでございます。
以上であります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
たっぷりと説明していただきました。
この地域防災計画で示される原発事故時の住民避難計画が適切なものなのかどうなのか、誰が評価するんでしょう。計画作成の支援等を行っている関係府省庁とは一体どこなんでしょうか。担当課の名前も含めて教えていただけますか。
○政府参考人(黒木慶英君) 原子力防災会議において決定した方針の下でそういう対応をいたしておるところでございますが、関係省庁につきましては、地域ごとの多様な課題に応じて適切な担当者にワーキングチームに出席していただいておりますので、ここで個別に列挙するのはなかなか難しゅうございます。
それから、先ほど、妥当性ですか、それについて誰が確認するんだという話でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、妥当性ということではなくて、原子力防災会議におきまして、それぞれの計画の、各自治体の計画の進捗状況について確認を行うといったことを行っております。
以上であります。
○山本太郎君 この住民避難計画の作成にはSPEEDI、これ活用しないという手はないですよね。もう欠かせないと言っても過言ではないんじゃないかと思うんですけれども。もう皆さん御存じのとおり、SPEEDIのことは僕から説明されることはないと思うんですけど、あのカメラで、ネットで見られている方がいらっしゃるので、一応言わせていただいていいですか。済みません。
御存じのとおり、放射性物質が放出したよ、それがどういうふうに拡散していくんだろうねということをシミュレーションするものですよね。風速だったり風向きだったりとか地形だったりというものを計算するよ、シミュレーションするんだ、飛ぶ範囲をねという話なんですね。税金百十六億円使った。当然ですよね。原子力災害というものがあったときに、国民の命、この国に住む人々の命を守るものなんだから、当然です。シミュレーションするものが必要です。
さて、この川内原発三十キロ圏の避難計画作成にはSPEEDIの活用というものは義務付けられていますか。
○政府参考人(黒木慶英君) 原子力災害対策指針におきまして、地域防災計画作成の際にSPEEDIを活用するよう位置付けられてはおりません。
○山本太郎君 済みません。とても頭の回転の速い方はすごく早口になられるので、ちょっとよく聞き取れなかったので、済みません。とにかく、義務付けられてはいないというお話でしたよね。済みません、ありがとうございます。
これ、義務付けられないのはどうしてなのかなと思っちゃうんですよね。例えば三十キロ圏、避難計画というものにおいても三十キロ圏、SPEEDIの試算も三十キロ圏みたいな話になっちゃう理由が分からないなと思うんですよね。
質問したいんですけれども、事故を起こした福島東電原発から福島市の福島県庁まで、そして事故を起こした東電原発から郡山市役所まで、それぞれ直線距離で何キロぐらいあるんですか。また、川内原発から鹿児島市の鹿児島県庁まで何キロぐらいあるんですか、直線距離で。また、熊本市の熊本県庁まで川内原発から直線距離で何キロぐらいあるんですか。教えてください。
○政府参考人(黒木慶英君) まず、東京電力福島第一原子力発電所から福島県庁までは直線距離で約六十キロメートルであります。郡山市庁舎までの直線距離も約六十キロメートルでございます。あと、九州電力川内原子力発電所から鹿児島県庁舎までの直線距離は約四十五キロというところでございます。熊本県庁舎までの直線距離は約百二十キロメートルと承知しております。
以上であります。
○山本太郎君 ありがとうございました。
そうですか、近いんですね。川内原発から鹿児島の県庁までも近いし、意外と熊本までもすごく近い距離だということがすごく分かりました。ありがとうございます。
福島東電原発事故では、福島市、先ほどおっしゃいました六十キロ、郡山市も直線距離で六十キロだよと。離れているんですけれども、住民はこの放射能、放射性物質が広がっていることも知らなかったと。その間に何の発表もなかったから水をくみに行っていたんだよと。断水していた、水をくみに行った。そのほかにも、食料を求めて外出したりとか、子供たちは外遊びを続けていた。これ、無用な初期被曝しているんですよね。これ、もしSPEEDIの情報というのが住民が知ることができていたら注意できたのになと、避難できたのになと。屋内退避だったり分からないですけれども、今、何も知らされないよりかは被曝量を減らせたということはもう確実だと思うんですよね。
六十キロという範囲だけじゃなくて、例えば安倍総理がオリンピックを日本に呼ぶときに海外でプレゼンされました、二百五十キロ離れていますからね、福島からはと。原発から二百五十キロ離れている東京、大丈夫ですというような、のようにも取れるような発言もされていましたよね。
でも、東京、全く影響を受けていないんですかね。ホットスポット存在していますよね。それはそうですよ、放射能プルーム来たんですものね、東京にも。東京都民も情報があれば屋内退避の必要、人々に伝えることができたわけですよね。東京都民も無用な被曝をさせられたということなんですよね。
いやいやいや、山本君、SPEEDIは百キロまでしか無理なんだよ、しかも、これ予測、もっと範囲が広がれば精度が落ちちゃうんだよ。でも、そんな言い訳はもう利かないと思うんですよね。だって、この国には元々百キロという距離から地球半分程度まで広範囲に放射能の拡散予測ができるワールドSPEEDI、WSPEEDIというものがあるんですからね。当時、もしも行動できるのであれば、日本原子力研究開発機構にWSPEEDIで試算を出すように要請することだってできたわけですよね。同心円で止まるか、放射性物質が。県境で止まるか。そんなわけない。
放射能の広がりを住民に知らせる、これ当然ですよね。人々の命を守る、国の役割ですものね。どうしてそれができなかったのかというのがすごく残念なんですけれども、とにかくできることをせずに無駄に人々を被曝させた事実というのはどんな言い訳をしても消せないと思うんです。
そのこともありますけれども、じゃ、その過去からどうやって学んでいくかということが大事だと思うんですよね。とにかく再稼働だ、とにかく再稼働なんだと、原発を。今、原発一基も動いていないですね。二〇一三年の九月の十五日から一基も動いていないよと。でも、電気は安定供給されていますと。あれ、電気が足りないから再稼働って話だったのになみたいな。南海トラフ、東南海、首都圏直下と、大地震が来ること分かっているんですよね。いつかは分からないけど必ず来ると言われている中で、地震に耐えられない、福島東電原発が証明しましたよね。
これ、どうしても再稼働させるんだということだったら、最低限、これ住民の避難計画には、これは屋内退避指示なども含めて三十キロ圏より広範囲の予測、シミュレーション、絶対必要ですよね。だとするなら、広範囲の予測ができるWSPEEDIの拡散予測を基にした、全ての風向きを考慮したシミュレーションを住民避難計画作成時の義務にするって、これ当然のことじゃないかなと思うんですよね。
いかがですか、何かありますか。
○政府参考人(黒木慶英君) 福島の反省をどう取るかと、一つ問題がありますけれども、SPEEDIの問題に関しましては、今、原子力規制委員会が考えておりますのは、そもそも、いわゆる拡散予測に基づいて避難行動を起こす、あるいは防護活動を行うということは基本的には行わないと。あくまでも実測のモニタリングの数値、それをもって避難行動あるいは防護活動を行うというのが原則として決められております。
理由は、福島の場合、確かにソースターム、要するにどのくらいの放射性物質の放出がそもそもあったかということが分かっていれば比較的容易でありますが、元々は気象情報ですから、かなりのまたいろんな誤差もありますけれども、少なくともそれが分かっていればいいんでしょうけれども、現実問題分かっていなかった。したがって、要するに提供はできなかったわけであります。
もっと言えば、シビアアクシデントの際にそういう情報がたちまち、意味がある時間内に入手ができるという保証は何もないんですね。したがいまして、これはもう現実的には実測で勝負するしかないといったことで緊急時モニタリングという制度を設け、その際には、現実の放出がある前からそういったモニタリングのチームが展開し、放出に備えて頑張っていくというふうな手しか、基本的には住民の防護措置に関してはないと思います。
それとは別に、全般的な放射性物質の、要するに拡散の状況というのはどうなのかというのは、これは一つ大きな大事な情報でございますから、それについては当然のことながら国民の皆さんに提供するということでありますけれども、それに基づいて、直ちにそれをもって防護措置を取るというのはかえって非常に危険であるというのが現在の原子力規制委員会の考え方でございます。それに基づきまして、今指針ができ上がっているところでございます。
以上であります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
福島のときもそうですよね。実際の線量というもの、どれぐらい放出したのかという値が分からないから、一ベクレルという値で計算したんですよね。でも、今あの事故があって、次再稼働するという前に、過酷事故という例があるわけですから、福島の第一、第二の放出がどれぐらいだったかということは数字に入れられるじゃないですか。
何のためのシミュレーションなんですかって。何のための避難計画なんですかって。広がりがばれたらまずいのかって。住民の命を守る気があるのかって。絶対再稼働ありきなのかって話なんですよ。何のために、じゃSPEEDIつくったんだって。事故が起こって、その後にモニタリングをしていって、遅いじゃないですか、それじゃ。少なくとも、一ベクレルの段階で数値を出したとしても、それはどっちの方向に逃げればいいか、風向きだけでどっちの方向に逃げるべきなのかといったざっくりとした指針になるわけじゃないですか。それをもしもやっていれば、北の方向に逃げた人たち、風下に逃げた人たちが実際に福島の東電原発事故の後にあったんですものね。
これ、再稼働する前に、避難計画の中に義務として入れるって、もしものときにどうするんだという話ですよね。どうしてその部分全くタッチしないというか、何か再稼働しづらくなるんですかね、そういうシミュレーションを出してしまえば。何か不思議だなと思うんですよ。生命、財産、身体を守るとかという文言だけは分かるんですけれども、でも実際やろうとしていることはどうなんだという話だと思うんですよね。
ごめんなさい、済みません。皆さんが決めたわけじゃないですものね。そうです、それぞれの省庁を代表して来られただけなんですけれども、是非本当にこのSPEEDI、そしてWSPEEDIというものをどんどん活用して避難計画というものを立てていただかないと、本当に人々の命というのは守れないと思うんです。是非よろしくお願いいたします。
今日はもう時間がなくなってしまったので、そろそろ終わりにしたいと思います。
とにかく、福島東電原発の一号機、二号機の放出量データを使って、同様の過酷事故が川内原発の一号機、二号機で起こったと仮定して、このようなシミュレーションを活用するべきだということを私からお願いして、質問を終わらせたいと思います。
ありがとうございました。
186-参-内閣委員会-8号 平成26年04月08日
○山本太郎君 本当にこの公務員の方々の人権が守られるというのは物すごく大事なことだと思うんです。でも、この幹部職員の方々にとっては、普通の公務員の方々よりもやっぱりお給料をたくさんもらっているという部分で、本当に人権というならば、消費税が上がったりとか、例えば生活保護が引き下げられたことによって三十八もの制度が、要は基準となる生活保護費が下げられてしまったから今まで受けられていたサービスも受けられなくなったというような状況もありますよね。例えば、就学援助であるとか、保育料の減免、老人ホームの入所、障害福祉サービスの負担上限、交通遺児らへの貸付金、公営住宅の家賃減免など、本当に人権という意味で今すぐ手を差し伸べなきゃいけない人たちが今首絞まっている状況なんですよね。
そういう意味で、国会議員そして幹部職員という部分において、まずは態度でというか、本当に分かりやすい形で見せていくということがすごく重要なんじゃないかなと思いました。済みません。
公明党の皆さんは、国会議員の歳費削減の延長、また元々は国会議員の歳費を恒久的に二割削減すべきだと主張されていると伺っております。私たち新党ひとりひとりも同じ考え方に立って今後提案していきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、前回質問しました鹿児島県の川内原発再稼働問題についてお伺いします。
私は、原発の過酷事故に対する地域防災計画、住民避難計画の策定、国民と行政の信頼関係、国民、住民が我が国の公務員制度を信頼できるかどうかの、これ根本的な部分ともつながっている部分だと思うんですよね。このことを踏まえまして質問をさせていただきます。
前回の質問、原子力規制庁から、原子力災害対策指針におきまして、地域防災計画作成の際にSPEEDIを活用するようには位置付けられておりません、そのようにおっしゃっていました。それだけじゃなく、SPEEDIの問題に関しましては、今、原子力規制委員会が考えておりますのは、そもそも、いわゆる拡散予測に基づいて避難行動を起こす、あるいは防護活動を行うということは基本的には行わないこと、あくまでも実測のモニタリングの数値、それをもって避難行動あるいは防護活動を行うというのが原則として決められておりますとの答弁がありました。本当にびっくり答弁、ありがとうございました。
五重の壁で守られているから安全ですと言われていた放射性物質ですよね。それが外に漏れ出しているという状況の中で、待ってくださいね、実測のモニタリングをやらせていただきますからって。あっ、待ってくださいね、その後にシミュレーションをやりますからって。余りにもおかしな話ですよね。住民は、じゃ、その間どうすればいいのかって。放射能が来ないようににこにこと笑っていればいいのかって。専門家の方言われていましたものね、にこにこ笑っているところには放射能来ないよって。
まず住民の皆さんに被曝していただきますということ前提のこの災害対策ってあり得ないと思うんです。子供が聞いても怒ると思うんですよ、僕。事前に放射性物質の拡散予測を立てられるシステム、SPEEDI、これ百十六億円、税金でつくったんですよね。どうしてつくったの、理由は何なんでしょうか。原子力災害時に住民を被曝から守るため、物すごくクリアですよね。簡単な答えが返ってくると思います。もっと真剣にやっていただきたい。この国に生きる人々の生命と財産を守る仕事をやっていただきたい。今このSPEEDIを活用せずにこの避難計画を立てるというのは、手抜き以外の何物でもないと思うんです。
そして、私が前回言ったのは、事故が起こってからのことではないんですよ。住民避難計画を作成する段階、まさに今じゃないですか。今できること、今やらなきゃならないことをお話ししたわけなんですけれども、ちょっと違う答えが返ってきたという感じだったんですね。だから今日もう一度お聞きします。
住民避難計画を作成する段階で、福島第一原発の実測の、あるいはそのほかの放出量データを使って、SPEEDI、ほかにも特に広範囲の拡散予測ができるWSPEEDIを活用して、鹿児島の川内原発の屋内退避指示も含めた住民避難計画作るべきだと思うんですけれども、提案したわけなんですけれども、済みません、皆さんに資料をお配りしたやつ、パネルにしてきました。今日は一枚だけですから、御心配しないでください。(資料提示)
これは、WSPEEDIを使った二〇一一年三月十六日午前零時のセシウム137の拡散予測図ですよね。非常に広範囲に、福島東電原発から二百五十キロ離れた東京周辺にも影響が及んだということははっきりと分かると思います。こんな図が出せるんですよね、WSPEEDI。
福島第一原発一号、二号の放出量データを使って、既にもうデータありますものね、このデータを使って川内原発一号、二号の仮定過酷事故における拡散予測図を作って、関連する全ての自治体で住民避難計画作るべきじゃないかなと思うんですけれども、手短にお答えください、よろしくお願いします。
○政府参考人(黒木慶英君) お答えいたします。
東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえまして作成されました原子力災害対策指針でございます。
原子力施設からおおむね三十キロメートルを原子力災害対策重点区域としておりまして、関係の道府県、市町村において現在地域防災計画、避難計画の策定が進められているところでございます。
原子力災害対策指針におきましては、地域防災計画作成の際にSPEEDIを活用するよう位置付けられてはおりません。さらに、緊急時につきましては、原子力災害対策指針では、放射性物質放出後の防護措置の実施については、SPEEDIを活用した拡散計算による予測ではなく、緊急時モニタリングを行った結果としての実測値等に基づいて判断することとされております。
以上でございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
ほとんど九割ぐらい聞き取れない状況だったんですけれども、とにかく、前回質問したときに、国民の皆さんに提供するとの答弁があったと思うんですよ。であるならば、私、山本太郎が請求した場合、この福島のデータを使って全ての風向きに対応する川内原発一号、二号の仮定過酷事故の拡散予測図を作ってほしいと環境省の国会連絡室を通して資料請求したら、作成して、提供していただけますか。
186-参-内閣委員会-9号 平成26年04月10日
○山本太郎君 ありがとうございます。政党要件を満たしていない新党ひとりひとりの山本太郎です。よろしくお願いします。
国家公務員法等の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、その前に一問だけ、前回の最後の質問で、時間切れになってしまいました答弁のなかった質問をさせていただきたいと思います。
鹿児島県の川内原発の再稼働問題についてですが、四月三日、本委員会において、原子力規制庁の黒木放射線防護対策部長が、私のSPEEDI及びワールドSPEEDI、WSPEEDIですね、その質問に対して答弁をされました。その内容は、原子力災害の地域防災計画作成にSPEEDIは活用しないが、それとは別に、全体的な放射性物質の、要するに拡散の状況というのはどうなのかというのは、これは一つ大きな大事な情報でございますから、それについては当然のことながら国民の皆さんに提供するということでありますという答弁をいただきました。
であるならば、事故を起こした福島東電原発一号機、二号機の放出量データを使って、全ての風向きと風の強さに対応する川内原発一号、二号の仮定過酷事故の拡散予想図を作ってほしい、そのように私、山本太郎が環境省の国会連絡室を通して資料請求をしたら作成して提供していただけますか、いかがでしょうか。
その前に、黒木さん、また答えていただけると思うんですけれども、毎回少しちょっと早口で分かりにくいんですね。先日、九割ぐらいちょっと答弁が分からなくて、翌日の議事録でやっとその内容が分かったということだったんです。できれば、わがままなんですけれども、わがままというかお願いがあるんですけれども、言葉をゆっくりめにしゃべっていただいて、粒立てて答弁いただけると助かります。よろしくお願いします。
○政府参考人(黒木慶英君) 防災計画、いわゆる防災基本計画の中におきまして原子力災害対策編というのがございます。その中で、SPEEDI等の情報を、SPEEDI等で、それを使った場合は、きちんとその情報は国民に、国民というよりも住民に迅速に提供せよという話でございます。ですから、防護措置で使う使わないということと別に、そういった形での情報提供を行うといったことを申し上げたところでございます。
それで、先ほどお話がありましたような資料要求の話でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえまして、同事故における総放出量等を用いて、年間の気象データから放射性物質が拡散する方位や距離を算出した結果を平成二十四年の十二月に公表いたしておりますし、当然のことながら、関係の道府県に対してその情報は提供いたしておるところでございます。
なお、現在、原子力規制委員会では、実用発電用原子炉に係る新規制基準の適用等を通じまして、福島第一原子力発電所のような事故が生じることがないよう取組を進めているところでございます。
以上でございます。
○山本太郎君 済みません、余り答えていただけなかったようなんですけれども、拡散予測図を作ってほしいというふうにこちら側が資料請求した場合、作成して提供していただけるんですか。
○政府参考人(黒木慶英君) 特にSPEEDIの関係だと思いますけれども、原子力規制庁が実施している委託事業では、原子力総合防災訓練の実施のための計算のほか、原子力施設の立地道府県及び関係周辺府県の要望に応じまして計算に協力することといたしております。それ以外の方からの要望に応じた計算についてはお応えをいたしておりません。
以上であります。
○山本太郎君 なるほど。それが国会議員であっても無理だと。
じゃ、その周辺の自治体というところからの情報提供を求められれば、福島の東電原発一号機、二号機の放出量というものを基に計算して出してもらえる可能性もあるということですね。
○政府参考人(黒木慶英君) 現時点ではそのような要望があるとは聞いておりませんが、原子力施設の立地道府県及び関係周辺府県からの要望につきましては、必要に応じ、技術的な観点からの相談に乗ることになるものと考えております。
以上であります。
○山本太郎君 じゃ、少なくとも一ベクレルという数値ではなくて、福島東電原発の一号機、二号機の放出量をシミュレーションとして入れるということはもう既にされているんですか。
○政府参考人(黒木慶英君) 先ほどお答えしましたように、東電事故における総放出量、これヨウ素換算で七十七万テラベクレルでございます。それを一度に放出したという仮定、そして放出継続時間につきましては、放出量が最も多かった二号機の放出継続時間である十時間を仮定しました。それから、放出の高さ、これは実はその放出の高さによってかなり状況が変わってきますけれども、一番厳しい条件と思われる地表面近傍の濃度が大きくなりますゼロメートルと仮定した計算でございます。被曝推定量については、外部被曝及び内部被曝の両方を考慮する。それが平成二十四年の十二月に発表いたしました放射性物質の拡散する方位や距離を計算した前提の条件でございます。
以上であります。
○山本太郎君 それで、川内原発のものも、もう既に出されているということですね。
○政府参考人(黒木慶英君) 全ての原子力発電所について同様の計算をして、関係自治体にその情報については提供いたしております。
○山本太郎君 関係自治体というのは、三十キロ圏内ということですか。
○政府参考人(黒木慶英君) 基本的には、これは県を通じてお話がある話でございますので、当然のことながら、関係の、要するに立地道府県、それから周辺の、立地はしておりませんけれども周辺の府県にこの情報は提供されております。
○山本太郎君 三十キロ圏内ですか。
○政府参考人(黒木慶英君) ええ、三十キロ圏でございます。
○山本太郎君 それWSPEEDIでも出しているということですよね。SPEEDIのみ。
○政府参考人(黒木慶英君) 誤解を招いたとしたら誠に申し訳ありませんが、これはSPEEDI、WSPEEDIで同様の計算はできません。したがいまして、これはMACCS2という別のコードでございます。
同じような計算をする場合、恐らくSPEEDIだと相当時間が掛かりまして、とてもじゃありませんけれども実用に堪えないだろうと思われます。恐らく目算ですけれども、大体同様の計算をした場合、約一年掛かります。一か所一年でございますから、十六か所あれば十六年という計算になります。それがWSPEEDI、SPEEDIでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
ちょっと話が長引いてしまいましたけれども、とにかくこのSPEEDI、そしてWSPEEDIを使った予測というのはやる気がないということがよく分かったと思います。
とにかく、この放出量データを使って広範囲の拡散予測すること、非常に重要なことだと思っています。地域防災計画、住民避難計画を確認する政府の原子力防災会議というのが内閣に設置されていますよね。本内閣委員会の所管事項でもあると思います。内閣委員会としても、是非この件取り組んでいただけたらいいのではないかと思います。本当に国民の生命と財産が懸かっています。
続きまして、本題の法律案について質問いたします。
今回の改正案の三つのポイント、幹部職員人事の一元管理等、内閣人事局、内閣総理大臣補佐官、大臣補佐官のうち、これまで総理補佐官、大臣補佐官、幹部職員について質問してまいりました。けれども、今日は内閣人事局について質問いたします。
改正案のうち、内閣法二十一条、内閣人事局長ですが、大変重要で公務員制度改革の中核となるポストだと思います。その内閣人事局長は、内閣総理大臣が内閣官房副長官の中から指名すると規定されています。大臣、これはほかの職務と兼務ということなのでしょうか。
186-参-内閣委員会-11号 平成26年04月22日
○山本太郎君 ありがとうございます。
もう既にもっと大きな、便利な、一気にもっと大量のものを処理できるような機械があるんだよというお話はよく分かりました。
僕が言いたかったのは、こういう例えば基礎的なところから応援していくよというこのプログラムにおいて、この分野をもっと広げていくということがすごく大事なんじゃないかなと。恐らく、例えば汚染を除去するという部分において、例えばこの放射性物質、多分いろんな人から提言があったと思うんです。僕も、中小企業だったり零細企業の方からこの減容化という部分に関していろんなアイデアいただくんですけれども、なかなかハードルが高くて門前払いをされてしまうというような意見をよく聞くんですね。
そういう部分において、こういうプログラムは是非、先ほど山下芳生理事の方からお話がありました、例えば経団連だったり大企業というものに対しての何かゲートを開くようなものじゃないのかという、その真逆を行っていただきたいなと、日の当たらないところ、だけど今一番必要なんだよという技術に国が責任を持って応援するというような形になっていけばいいなと思いました。
文部科学省にお伺いいたします。
先日の本委員会におきまして、原子力規制庁の放射線防護対策部長黒木さんが、SPEEDI、WSPEEDI、緊急避難には役に立たないから使わないというようなことをおっしゃいました。地域防災計画、これ作成の際にも時間が掛かって、とてもじゃないが実用に堪えないと答弁しております。
発言はこんな感じでした。SPEEDIだと相当時間が掛かりまして、とてもじゃありませんけれども実用に堪えないだろうと思われます。恐らく、目算ですけれども、大体同様の計算をした場合、約一年掛かります。一か所一年ですから、十六か所で十六年という計算になります。それがWSPEEDI、SPEEDIでございます。
余りにもひどい答弁だと思いませんか。SPEEDI、WSPEEDIは役に立たないものというふうに規制庁からお墨付きを与えられた答弁だったと思うんですけれども、百十六億円もの莫大な税金を掛けた文科省、これ、何か見解といいますか、この答弁に対して何かありませんか。
○政府参考人(田中敏君) WSPEEDIにつきましては、海外で発生をいたしました原子力事故について我が国への影響ということを評価するために、その時々の気象条件あるいは地形情報、これを入力をいたしまして、百キロあるいは数千キロというところについての広域について拡散ということをシミュレーションするというシステムでございます。これまで日本原子力研究開発機構において研究開発を行ってきているところでございまして、まだ研究開発途上ということでございます。
先日、原子力規制庁の方から答弁があったというものにつきましては、これはWSPEEDIとは異なるシミュレーションソフトであるというふうに我々認識しておりますけれども、都道府県が防災対策を重点的に充実すべき地域の決定をするに当たっての参考とすべき情報ということを得るためのツールということでございます。
原子力の防災対策にWSPEEDIということを実際どうやって実用されるかどうかということにつきましては、文部科学省から申し上げる立場ではございませんけれども、我々としては、この研究開発成果ということがその拡散予測の精度向上というところにうまく活用されるというようなことを目指して、引き続き研究開発を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
でも、別のソフトという部分で、別のものを使ってシミュレーションをしたというふうに今おっしゃいました。そういう答弁もあったんですけれども、結局、黒木さんのこの答弁の締めが、議事録によりますと、結局、一か所一年、十六か所で十六年という計算になる、それがWSPEEDI、SPEEDIでございますという言葉を残しているというものがもう答えだと思うんですよね。余りにもあり得ないと、余りにもひどい答弁に私も燃えてきまして、これSPEEDIの専門家にお話を伺いました。
私が求めていました薩摩川内原発のシミュレーション、一日二十四時間、一年三百六十五日、合計八千七百六十通りの試算、これ四か月でできるそうです。おかしいですよね。四か月でできるそうです。例えば、薩摩川内原発から鹿児島方面に強い風が吹くという設定、その一例ならば、計算に一時間、準備も入れて一日か二日でできると専門家の先生はお答えになりました。できるんですよね、すぐに。どうしてこんなことを言ったんでしょうね、黒木さん。
で、子供たちの健やかな未来をつくるであろう文部科学省にお聞きしたいんです。薩摩川内原発から鹿児島方面に強い風が吹くという設定でWSPEEDI若しくはSPEEDIを使ったシミュレーション、たった一例なんですけれども、作っていただけないですか。
○政府参考人(田中敏君) まず、SPEEDIとWSPEEDI、これを分けて御説明申し上げますと、SPEEDIは原子力規制庁に全て移管をされてございます。WSPEEDIについて御説明を申し上げますと、WSPEEDIにつきましては、その時々の気象条件、そして地形状況、そういうのを全て入れて計算をさせていただくということになってございます。
文部科学省としては、研究開発、あるいはシミュレーションのソフトウェアですか、の高度化ということを資する観点から活動をしてございまして、特定原子力のサイトということを抜き出してきて、そこについて仮定の計算をするというようなポジションには今はございません。
○山本太郎君 済みません。本当に、WSPEEDI、百キロから地球の半分まで見れるよという部分において、薩摩川内原発に何か起こったときに鹿児島市方面に風が吹くというシミュレーション、シミュレーションですからね、一例だけでも作っていただきたいということに対して、そこを拒否される意味がよく分からないというか、本当に安全というか危機管理という部分を考えるのであれば、これ使わない意味がないですよね、使わなきゃそんなもの、どうやって避難計画作れという話だと思うんですけれども。
お時間もそろそろのようなので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【文部科学省】御意見・お問合せ 入力フォーム
科学技術や学術の基本的な政策、科学技術関係人材の養成、産学官連携、知的財産戦略に関すること
https://www.inquiry.mext.go.jp/inquiry28/
双葉町が「美味しんぼ」の件で、小学館に抗議しました。
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/item/5924.htm#ContentPane
これが抗議文です。

「原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」となっています。
町民が鼻血が出ましたと言って、町役場に訴えることがあるのでしょうか?
ましてや双葉町の町民は、避難して町役場とは疎遠になっていると思われます。
現在の双葉町役場の所在地
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/4030.htm

次の「第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県に住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、」も疑問があります。
「美味しんぼ」の第604話を読んで、県外の人が、「美味しんぼ」を発行している小学館に抗議するのではなく、移転している双葉町の役場に「福島には住めない」と電話する理由がよくわかりません。
双葉町には住めないので、役場も移転しているのですが・・・
EU、日本に「人権条項」要求=侵害なら経済連携協定停止
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140506-00000008-jij-eurp
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)と日本が、貿易自由化に向けた経済連携協定(EPA)と同時並行で締結交渉を行っている戦略的パートナーシップ協定(SPA)に、日本で人権侵害や民主主義に反する事態が起きた場合、EPAを停止できるとの「人権条項」を設けるようEUが主張していることが5日、分かった。日本は猛反発しており、EPAをめぐる一連の交渉で今後の大きな懸案になりそうだ。
EU当局者によると、EUはSPAに民主主義の原則や人権、法の支配の尊重を明記し、日本が違反した場合、EUがEPAを停止できる仕組みを盛り込む方針を内部決定した。日本に対しては、EUで人権侵害が起きれば日本もEPAを停止できると説明、理解を求めている。
経済的利益と引き換えに民主化を迫るのは、開発途上国や新興国に対するEUの基本戦略。人権条項は第三国との協定で「不可欠の要素」とされ、対日SPAも、こうしたEU外交の延長線上にある。ただ、EUは米国との自由貿易協定(FTA)交渉では、SPAのような政治協定の締結を求めていない。
EU当局者は、日本に対して人権条項が発動される事態は考えにくいと強調するが、EUは日本で死刑が執行されるたびに「死刑は残酷で非人道的だ」と批判する声明を発表している。死刑廃止を目指すEUが日本に働き掛けを強める上で、人権条項が無言の圧力になる可能性はある。
日本に人権条項をのませておけば、EUが将来中国とFTA交渉を行う場合、人権条項の要求を通しやすくなるとの思惑もあるようだ。
山本太郎 『福島原発事故後の「健康の権利」に関しての国連人権理事会から勧告』
186-参-内閣委員会-3号 平成26年03月13日
○山本太郎君 政党要件は満たしておりませんが、新党今はひとり、山本太郎です。よろしくお願いします。
我が国は一九五六年より国連に加盟していますよね。国際社会の一員として、我が国ができる範囲で国連での責務を果たすということは、これはとても重要なことだと思うんです。先日、国連の特別委員会で、国連北朝鮮人権調査委員会、この中で、日本人等の拉致を人道に対する罪に当たるという報告書を公表したことについて、安倍総理、三月三日の予算委員会で、国連の特別委員会の調査報告が出たことは、世界が共通の認識を持つに至ったということであり、北朝鮮に対して大きなプレッシャーになっているのではないかと述べました。
国際法上の人道に対する罪というものに国連が勧告を出した。国連からの勧告を受けた北朝鮮もこれを受け止め、改める必要があるというのは当然のことだと思います。国連の勧告というものはそれほど重要で大変重たいものだと私は考えますが、官房長官もそう思われませんか。
○国務大臣(菅義偉君) そのとおりだというふうに思います。特に、我が国としては、御指摘の北朝鮮における人権に関する調査委員会による最終報告書を歓迎するとともに、同報告書による勧告を真摯に受け止めているところであります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
国連から与えられた勧告に耳を傾け、そして改善する努力を見せてこそ国際社会の一員として迎えられる、当然のことだと思います。ありがとうございます。
ところで、国連の重要な人権条約の一つであります社会権規約、我が国も当然批准しておりますよね。日本国憲法九十八条二項で定められているとおり、日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを遵守するということで、官房長官、よろしいでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 国際社会における法の支配の確立を外交政策の柱の一つとして位置付けておる我が国でありますから、御指摘の社会権規約を始めとする条約及び国際慣習法が求める義務を遵守することは当然のことであるというふうに考えます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
こちら、フリップになるんですけれども、(資料提示)この社会権規約、この社会権規約というのを僕最近知ったんですね、情けない話ですけれども。この社会権規約の十二条第一項におきまして、「すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有すること」、これ、いわゆる健康権が認められているんですよね。この権利、日本ではきちんと守られていると思われますか。
○政府参考人(佐藤敏信君) お答えをいたします。
今議員からお示しのありました社会権規約でございますけれども、そもそも各締約国は立法措置などの適切な方法によりましてこの規約において求められる権利の実現を漸進的に達成するための行動を取ることが求められていると、このように承知をしております。
とりわけ、今ございました御指摘の健康権でございますけれども、具体的な措置としましては、幼児の死亡率を低下させるための対策、あるいは伝染病などの疾病の予防、それから治療及び抑圧、制圧ということでしょうけど、制圧などが示されておりまして、我が国におきましては、具体的なことを申しますと、例えば新生児あるいは乳児の死亡率、こういったものは世界一低いという状況にありますし、また、御存じのように、平均寿命はもとより健康寿命におきましては世界最長を達成するなど、その達成もできていると思いますし、またその努力も日々重ねているということが言えると思います。
いずれにしましても、国民の皆様が受けていただきます健康の水準が更に向上するように努力をしてまいりたいと考えます。
○山本太郎君 では、この健康権、これからもきっちりと、しっかりと守っていくと。世界のトップ狙っていくぞというぐらいの勢いだという感じなんですかね。菅官房長官、短い受け答えで立ったり座ったりさせて申し訳ございません、よろしくお願いします。
○国務大臣(菅義偉君) 当然そのように努めていきたいと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
しかし、どうやら国連から見たら、世界から見たら、この社会権規約十二条一項、「すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。」、これが達成された社会かどうかというところで、日本は守られていないんじゃないのという見方もあるようなんですね。
国連人権理事会の特別報告者でありますアナンド・グローバーさん、二〇一二年十一月に来日されまして、調査の上、二〇一三年五月に国連人権理事会として日本政府に勧告をしたことを御存じだと思います、皆さん。このアナンド・グローバーさん、別に訳の分からない外国人が勝手に調査をして個人的な見解を適当に報告して帰っていったというわけじゃないんですよね。国連人権理事会の特別報告者という立場で来られた。これ、どのような立ち位置なのかというのを、このように、もう皆さん重々御存じだと思うんですけれども、フリップを作ってきたんですね。余計なお世話かもしれませんけれども、少しお付き合いください。一番上に総会がありますね。総会がありまして、その下に人権理事会があるよ、人権理事会から任命された人が特別報告者という存在なんだよということなんです。
話は続けるんですけれども、この国連人権理事会特別報告者、これ国連広報センター、広報センターに聞きましたところ、どういう立場なのかということを聞いたんですね。国連人権理事会により任命された個人の独立専門家で、特定の国における人権状況やテーマ別の人権状況について調査、監視、公表を行うと、そういった役割で、もっと言えば、テーマ別で、例えば拷問であったり、子供であったり、テロ対策、女性への暴力、教育、教育に関する権利、特別に調査をし、報告をする。国連の人権理事会の下に置かれて、国際社会の誰もが認める専門家、そういう権威ある立場だと。これが国連人権理事会特別報告者という存在なんですね。
どんな方なのか、少し興味が湧きましたか。こういうお顔をされた方なんです。済みません、フリップ何枚作ってんねやという話になるんですけれども、この方なんですね。このアナンド・グローバーさん、健康を享受する権利に関する特別報告者として二〇〇八年に任命されたインド人です。インドの方、健康問題専門の弁護士さんです。
このアナンド・グローバーさんが報告されたことをざっくり説明すると、福島の東電原発事故による影響を受けた人々が社会権規約と照らし合わせて人間らしい扱いを受けているのかどうか、この方は調査されたんですね。そのグローバー勧告、報告書、官房長官は目を通されましたか。
○国務大臣(菅義偉君) このグローバー特別報告者が来日をし、そしてそのことに基づいて報告書を提出したことは、私は承知をしています。ただ、全体に目を通したわけではありませんけれども、報告書に記載をされた勧告について関係省庁がそれぞれ連携をしながら回答したということは承知しています。
○山本太郎君 ありがとうございます。
その中で一番核となるのが、年間一ミリ以上の地域に居住し、被曝されている方々に対して健康管理調査を実施すること、また希望者には全員、福島県民でない方々にも健康調査が必要ではないか、また甲状腺のみならず血液、尿も検査すべきだと勧告で言っているんですよね。
今発言の中にありました年間一ミリという単位なんですけれども、これは放射線業務従事者ではない一般人が許容できるとされる被曝量、これが年間一ミリというところから始まっているんですよね。
アナンド・グローバーさん、報告書の七十七項の(b)、こちらです。健康管理調査は、年一ミリシーベルト以上の全ての地域に居住する人々に対し実施されるべきであると勧告されております。これに対して政府はどう対応するつもりなんでしょうか。よろしくお願いします。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
今般の原発事故に係る住民の方々の健康管理は、医学の専門家の御意見を聞きつつ進めることが重要だというふうに考えております。
福島県内におきましては、今御紹介ありましたように、追加被曝線量が一ミリシーベルト以上であるかないかにかかわらず、全ての県民を対象とした県民健康管理調査において健康管理が実施をされております。
一方、県外につきましては、これも同じ国連の関係機関でありますけれども、WHOでありますとか、国連科学委員会、UNSCEARにおきましては、がんなどの健康影響の増加が認められる見込みはないというような評価は一方ではいただいております。
また、福島県の近隣県におきましては、県が設置をいたしました有識者会議でも科学的には特段の健康調査は必要ないとの結論が出ているものと承知をしておりますが、国として改めて住民の被曝線量を正確に把握するため、平成二十六年度予算におきまして、福島県外の汚染状況重点調査地域におきまして、空間線量からの被曝線量の推計ではなく、個人線量計を配布をいたしまして、個人個人のレベルで外部被曝線量を正確に把握する予定としております。
○山本太郎君 まあ反論したいところはたくさんあるんですけれども、この先にも聞かなきゃいけないことがたくさんあるので、とにかく、福島県内だけではなく、それ以外の地域にもその健康調査広げた方がいいよね、やりたいと手を挙げる人に対しては全てに反応できるような状況をつくった方がいいよねというお話なんですけれども、いろいろと御説明ありがとうございました。
もう一度、話は戻りますね。
年間一ミリって何なんですかという話なんですけれども、我が国で一九九九年に起こりましたジェー・シー・オーの東海事業所における臨界事故。(発言する者あり)大丈夫ですよね。どきどきさせないでください。オリンピックのことを言っちゃったかなと思って。済みません、大丈夫ですね。はい、もちろんです。戻ります。一九九九年に起こったジェー・シー・オーの東海事業所における臨界事故。このときに、原子力安全委員会、そして健康管理検討委員会が出した報告書によりますと、このように書かれております。
健康に関する一般的な助言に資するための健康診断については、公衆の線量当量限度、自然放射線の地域差等を考慮し、評価された線量が一ミリシーベルトを超える者で、かつ健康診断を希望する者を対象とすることが適当である。また、評価された線量が一ミリシーベルト以下であっても、避難要請区域内の住民については、行政的に避難要請が行われたことを鑑み、希望者を対象範囲とすることが望ましい。
少しちょっと長い文章でしたけど、言ってみれば、言ってみればというよりも、ここに書かれてあることは、一ミリということがキーワードになっているということなんですよね。
この年間一ミリ、以前我が国で起こった、ほかにどんなことがある、原子力関係。原子力じゃなくてもありましたよね。原爆投下されました。もっともっと時を遡って、原子爆弾が投下された後、原爆症認定制度という中で医療特別手当を受けられる人、これ爆心地から三・五キロまでですよね。この三・五キロでの被爆というのは年間一ミリとされていますよね。以前あった原子力の事故、そして、原爆症の認定制度の中での医療特別手当、爆心地から三・五キロまで年間一ミリ、全て一ミリということがキーワードになっている。
話は戻ります。
国連人権理事会の健康に関する特別報告者であるアナンド・グローバー氏が来られて、このようなことを述べています。国連特別報告者は、日本政府に対し、放射線量に関連する政策、情報提供に関し、以下の勧告を実施するように要請する。避難区域及び放射線の被曝量の限度に関する国家の計画を最新の科学的証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権を基礎に置いて策定し、かつ年間被曝線量を一ミリシーベルト以下に低減することとあります。
そこで、官房長官にお聞きする前に、またまたフリップの登場です。こちらです。
このフリップのとおり、二〇一三年九月のオリンピック招致プレゼンテーション、安倍総理が、健康問題については、今までも、現在も、そして将来も全く問題はないということをお約束いたします、さらに、完全に問題のないようにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、さらに着手しております、実行していく、そのことをはっきりとお約束を申し上げたいと思いますとおっしゃいました。
そして、以前の内閣委員会で私が質問をいたしました、菅官房長官に対して。菅官房長官、この安倍総理のお約束、政府として責任を持って実行されますか、そのように私が菅官房長官にお聞きしたところ、菅官房長官は男らしくこのように答えてくださいました。「総理の約束は政府の約束でありますから、そこはもちろんしっかりと責任を持って対応するのは当然のことであります。」。
この答弁、今も変わりはございませんでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 当然そのとおりであります。
○山本太郎君 あのときの答弁を聞いたまんま、男らしい感じで、本当にうれしい限りです。
そして、またまたこのフリップに戻るんですけれども、とにかく菅官房長官、ジェー・シー・オーの被曝事故、そして原爆症認定制度、そしてアナンド・グローバーさん、勧告を出されました。全てこれ、つながりがあるのは一ミリシーベルトを基準にしているということですよね。
本当に、総理がおっしゃったとおり、この言葉ですよね。健康問題については、今までも、現在も、そして将来も全く問題はないということをお約束します、さらに、完全に問題のないようにするために、抜本解決に向けたプログラム、私が責任を持って決定し、さらに着手しております、実行していく、と言うのなら、原発事故、被曝線量一ミリシーベルト以上の地域に居住する人々の健康管理調査、政府はしっかりと責任を持って対応するべきではないでしょうか。菅官房長官、いかがお考えでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) 一般環境中の放射線量に関する健康管理につきましては環境省の方で担当させていただいておりますので、答弁させていただきたいと思いますけれども、人権委員会のグローバー氏からこのような提案がされていると、報告がされているということは承知しておりますけれども、先ほどるる御答弁申し上げましたように、内外の専門家等々、医学の専門家等々の御意見を聞きながら健康管理はきちっとやっていきたいというように考えておりますので、繰り返しになりますけれども、科学的な根拠に基づいて住民の健康管理は進めてまいりたいと、積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
○山本太郎君 なるほど。科学的な根拠に基づきというお話でしたけれども、じゃ、このアナンド・グローバーさんの言われていることは科学的根拠には基づいていないという御見解でよろしいんですか。
○政府参考人(塚原太郎君) あくまでも人権の専門家というふうに承知をしておりますので、科学的な根拠に基づいていないとは申しませんけれども、国連の放射線に関する科学委員会ですとか、別のいろんなところでの議論もありますので、そういったようなところを踏まえて総合的に対応を検討していきたいというように考えております。
○山本太郎君 では、一ミリという基準に対して、余り乗り気ではないと。乗り気ではないというか、ちょっと乗れないというお話ですよね。
では、じゃ、幾つからが大丈夫だという話になるんですかね。アナンド・グローバーは一ミリという話をされています。じゃ、環境省としては、国としては幾つからオーケーなんですか。
○政府参考人(塚原太郎君) 放射線と健康の関係につきましては、これまでの医学的な知見等々踏まえますと、一般的には百ミリシーベルト以上の被曝を受けたときに一定の健康影響が検出できるというふうなことが言われております。
したがいまして、医学的な知見からいいますと、一つの線は百ミリシーベルトということになろうかと思いますけれども、政策を、被曝防護という観点からいきますと、いろんなレベルでの考え方というのがありますので、恐らく一ミリシーベルトというのも一つの考えだろうと思いますけれども、健康管理につきましては、その辺も踏まえまして、専門家の御意見もお聞きしながら企画立案をしていきたいというように考えております。
○山本太郎君 これやっていると多分朝まで掛かりそうなので、その先に進ませていただきたいと思います。
続いてのフリップ、こちらです。グローバー勧告七十七項の(e)は、子供の健康調査は甲状腺に限らず実施し、血液、尿検査を含む全ての健康影響に関する調査に拡大することというものになっております。これに対する政府の対応、いかがでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
放射線によります甲状腺の影響につきましては、福島県が実施をしております健康管理調査におきまして、事故時十八歳以下であったお子様三十六万人を対象に実施をされております。この検査におきましては、エコーにおきます一次検査を行いまして、必要と認められた場合には、二次検査において血液検査でありますとか尿検査も含む精密検査が実施をされております。
また、警戒区域から避難された方々、あるいは当初四か月間の外部被曝線量を測った結果、相当程度の被曝のあるというような方につきましては、血液分画の検査なども実施をされておりますので、甲状腺だけの検査をしているわけではなく、必要に応じて血液検査あるいは尿検査がされているということで御理解をいただければと思います。
○山本太郎君 今の話を何となく聞いていると、じゃ、甲状腺もやって尿も血液もやられているんだねという雰囲気になるんですけれども、そうじゃないですよね。甲状腺で何か異常が出た、次のステップに進む、二次検査でやっと違うものも入ってくるということですよね。だから、途中途中で、どうして最初に全てをやらないのかという話なんですよね、甲状腺も尿も血液も。最初にやれば、それだけ守備範囲が広くなるわけじゃないですか。どんな病気が出てくるかということがはっきり分かる。どうして少しずつしか前に進まそうとしないのか、何か不都合でもあるんですか。
○政府参考人(塚原太郎君) 御答弁が少し舌足らずであったと思いますが、直接、福島県におきまして原子力災害の関係で実施をしております検査というのは、甲状腺の検査とそれから今申し上げました一部の血液あるいは尿検査でございますけれども、そもそも一般的な健康管理施策、厚労省さんが担当しております四十歳以上の一般の健康診断とか、そういうものも実施をされておりますので、そういうデータも合わせていただきながら、全体的な健康管理、健康状況の把握というものを一元的にやっていくということになっておりますので、決してそれだけ、血液検査あるいは尿検査が、私が申し上げましただけがされているということではなく、広く一般的に子供の学校で行われているような健診でありますとか、そういうところの検査も十分活用をさせていただいて、全体的な健康管理に努めていくというようなことで考えて実施をされておられます。
○山本太郎君 一年に一回の元々予定されていた健康診断がどうしたこうしたという話をしているわけじゃないんですよ。事故からの影響を調べるための調査をすべきだという話なんですよね。尿検査は、甲状腺の一次が終わってから、二次に行く人に対して行われていますよね、例えば尿だったりとかするってことは、尿という部分においては。そのほかのことはどうして、最初にどうしてやらないのかという話を言いたいんです。全て最初にやればいいじゃないかって、何か不都合でもあるんですかという話なんですよね。やりづらいとかあるんですか。
○政府参考人(塚原太郎君) この福島県の県民健康管理調査は、発災直後に福島県におきまして専門家を集めた委員会を開いて、そちらの方でこれまでの国連科学委員会の知見でありますとか、広島、長崎のデータ、あるいはチェルノブイリの医学的知見というものを総合的に判断して、必要な検査を選んで、それで今実施をされているというところでございますので、必要な検査を今、必要な対応をされているというふうに認識をしております。
○山本太郎君 二〇一一年七月二十四日に福島県民健康管理の検討委員会で委員の方々が言っているんですよね。ホール・ボディー・カウンターだけじゃなくて、ほかもやった方がいいんじゃないのって。要はホール・ボディー・カウンター重いから、台数も限られているから、いろんなところに持っていけないよねって、すぐには。だったら、持っていけないところに対して、尿検査をやったりだとか血液をやったりだとかというような検査の仕方でいろいろデータを取っていくというような意見も二〇一一年の時点では出ているんですよね。最初の時点で、どうして、これちょっとホール・ボディーの話に今変わっちゃいましたけれども──はい、どうぞ。あっ、僕じゃない、済みません、委員長でした、指名するのは。
○政府参考人(塚原太郎君) ただいまホール・ボディー・カウンターの検査につきまして、要するに内部被曝を尿でも、尿とか血液でもやったらどうかという、そういうような御質問だと理解をいたしましたけれども、これも、発災後なるべく正確にということがありまして、ホール・ボディー・カウンターとそれから尿検査、尿で放射線量を測るというようなものを試験的にやってみまして、やはりホール・ボディー・カウンターで検査をするというのが正確性、いろんな意味から適切じゃないかという評価があって、内部被曝についてはホール・ボディー・カウンターで実施をしていこうということでありまして、重いから検査が大変じゃないかというような御意見がありましたので、福島県が持っておりますホール・ボディー・カウンターの装置は全部車に搭載してありまして、福島県のみならず、福島県から県外に被災している方も含めて機動的な検査をされておりますので、非常に使い勝手が悪いとかという問題は克服しつつあるというふうに御理解をいただければと思います。
○山本太郎君 機動的なのであるならば、もう福島県民の調査終わっていると思うんですけどね、ホール・ボディー・カウンターにおいて。とにかく、台数も限られているという部分もあるから、回りづらいという部分もあると思うんです。
それだけじゃなくて、やっぱり血液検査、尿検査、もちろんそのホール・ボディー・カウンターという部分に含めても、とにかく希望者には全てそれが受けられるというふうな状況にしていただきたいと。例えば尿検査、一日に何回も取るからなかなか大変だろうという話もあるかもしれないけど、それを希望されている方ならば、それは苦にならないはずですよね、例えば尿検査においては。
それとか、とにかく、一ミリ以上、一ミリということを基準にというのは、昔日本で事故があったときもそれ以降もずうっと踏襲してきたことじゃないですか。原爆のときもそうだった、ジェー・シー・オーのときもそうだった。元々被曝限度というのを一ミリというふうに考えていた、公衆の被曝というのを一ミリということを決めていたという部分があるんだから、その範囲で、それ以上の線量のところにいらっしゃる方々、年間一ミリ以上の被曝される方というのには、もちろんそれぞれに権利がありますよね、だって事故起こしたの東電なんですもん。それ責任取るというのは僕もちろん必要あると思うんですよね。その事故によって今も、だって止まっていないじゃないですか。漏れ続けていますよね、海にも流れ続けていますよね。
ホール・ボディー・カウンターだけでどうして駄目かといったら、ホール・ボディー・カウンターで発見できるものなんて限られているじゃないですか。ストロンチウム見付かりますか。尿検査しないと駄目でしょう。海に垂れ流されている汚染水は。ストロンチウム、トリチウム、いろんなもの混ざったような魚が生体濃縮していって、台所の上に上がったりとかする可能性あるわけですよね。だとしたら、広い範囲でもっとやっていかないと、この先どうなるか分からないですよね。今やらないと駄目なんだというところにあると思うんですよ、この状況というのは。
済みません、ちょっとテンション上がってしまいましたね。
○委員長(水岡俊一君) 質問ですか。
○山本太郎君 今のですか。何かお言葉があるなら。お言葉があるならというのもなんですが、何か。
○委員長(水岡俊一君) 塚原環境保健部長、時間が来ておりますので、短めに。
○政府参考人(塚原太郎君) ホール・ボディー・カウンターも、これまで三年間の間に約二十万近くの方、機動的に県の方で御尽力いただきまして実施をされております。預託線量といいまして、内部被曝の向こう五十年間の被曝線量が最大で一番多かった方で三ミリシーベルトということで、ほとんどの方は一ミリシーベルト未満ということが分かっておりますので、そういうデータもあるということは御理解をいただきたいというふうに思っています。
○山本太郎君 それはホール・ボディーでセシウムだけを測った場合の話ですよね。
とにかく、二十ミリを下回ったら帰還させるということには一生懸命なんですけれども、一ミリシーベルト以下に、一ミリシーベルト以下を実現させるということに関しては余り力が入っていないように思うんです。
とにかく、子供たち、未来の納税者……
○委員長(水岡俊一君) 山本委員、もう時間来ていますから。
○山本太郎君 有権者を守るためにも、是非お願いします。
済みません、ありがとうございました。
<2014年4月3日>
黒木慶英(規制庁):
事故時の避難のシミュレーションにSPEEDIは活用しない。原発事故が起きた際の住民避難についても、放射能の実測値を活用する。
<2014年4月10日>
黒木慶英(規制庁):
SPEEDIで拡散予測を計算すると、1か所につき1年かかる。
16か所あれば16年かかる。
<2014年4月22日>
山本太郎:
川内原発のシュミレーション、1日24時間、1年365日、合計8760通りの試算は4か月でできる。
一例ならば計算に1時間、準備も入れて、1日か2日でできる。
文部科学省にお聞きしたいんです。
川内原発から鹿児島方面に強い風が吹くという設定でWSPEEDIもしくはSPEEDIを使ったシュミレーション、たった一例なんですけど、作っていただけないですか?
田中局長(文科省):
SPEEDIは、原子力規制庁にすべて移管されている。
文科省は、WSPEEDIを特定原子力のサイトを抜き出してきて、仮定の計算をするポジションにない。
鹿児島2区の補選にて自民党候補のポスターが電柱や街灯に大量に張られています。これは公職選挙法です。
ここまで明らかな違反がありながら、選管は野放し?!
公職選挙法(昭和二十五年四月十五日法律第百号)
(ポスターの掲示箇所等)
第百四十五条
何人も、衆議院議員、参議院(比例代表選出)議員、都道府県の議会の議員又は市町村の議会の議員若しくは長の選挙(第百四十四条の二第八項の規定によりポスターの掲示場を設けることとした選挙を除く。)については、国若しくは地方公共団体が所有し若しくは管理するもの又は不在者投票管理者の管理する投票を記載する場所には、第百四十三条第一項第五号のポスターを掲示することができない。ただし、橋りよう、電柱、公営住宅その他総務省令で定めるもの並びに第百四十四条の二及び第百四十四条の四の掲示場に掲示する場合については、この限りでない。
2 何人も、前項の選挙については、第百四十三条第一項第五号のポスターを他人の工作物に掲示しようとするときは、その居住者、居住者がない場合にはその管理者、管理者がない場合にはその所有者(次項において「居住者等」と総称する。)の承諾を得なければならない。
3 前項の承諾を得ないで他人の工作物に掲示された第百四十三条第一項第五号のポスターは、居住者等において撤去することができる。第一項の選挙以外の選挙において、居住者等の承諾を得ないで当該居住者等の工作物に掲示されたポスターについても、また同様とする。鹿児島県/選挙管理委員会事務局
http://www.pref.kagoshima.jp/ab02/soshiki/iinkai/senkyokanri.html
2014年4月11日 指宿市民会館 鹿児島二区補選・討論会
(55分頃から)
「原子力発電などエネルギー政策について」部分のまとめと、個人的な心の突っ込み。
三島照(共産)
福島原発事故の原因究明さえおこなわれていない。
「新基準に適用しても、安全だとは言えない」と規制委員会の田中委員長が言っている。
放射能の被害を止めることのできない原発は人類と共存できない。
川内原発は廃炉を決断するのが現実的。
再生可能エネルギーの普及で安全・安心な未来を子どもたちに手渡すことができる。
金子万寿夫(自民・公明)
原発をすぐにゼロにすると、この社会は成り立たない。
(´-`).。oO(今、原発ゼロなんですけど)
ただ、このまま原発依存社会を続けていい。いうふうなことも当然のことであります。
(´-`).。oO(続けていてもいいはずはないの意なのか?)
国が安全性を担保して、地域住民・自治体の意見を踏まえて、再稼働の安全・安心を確保したうえで再稼働は必要だ。
(´-`).。oO(それなら満足な避難計画ができないのなら、再稼働はできませんね)
電力の安定供給の点から捉えておくべきだ。
(´-`).。oO(原発はちょっとした地震があれば、すぐに止めないといけない不安定な発電方法ですよ)
原子力政策は、これまで地方自治体と電力会社に任せて、国が前に出てこなかった原子力政策は間違いだ。
ようやく、国が前面に出るようになった。
(´-`).。oO(国が前面に出なかったのは、責任を取りたくないからです。それに、国が前面に出ると碌なことはありません)
*非常に聞き取りにくい。モゴモゴ言わないではっきり話してほしい。次の討論会のときには、金子さんに通訳を付けるようにすればどうでしょうか?
有川美子(新党ひとりひとり)
私は、川内原発の再稼働を止めようとしています。
昨年の夏の電力ピーク時に九州電力は原発なしで電気は足りていました。
原発は安定して電力を供給できるというのは間違っています。
事故で止まったときにために、原発には常にバックアップ電源が用意されている。つまり不安定な供給しかできません。
安全性を国が保障するようなことを言っているが、3年前の原発事故がまったく収束せずに今も海を汚しています。
放射能をまき散らす大きな事故が起きれば、日本は放射能でさらに汚染されています。
全部の原発を即廃炉にすべき。これは安全な環境と食物を子どもたちに残す我々大人の責任です。
松沢力(幸福実現党)
基準をクリアした原発は再稼働しなければならないと思っている。
九州電力は原発停止に伴って3年連続赤字。
(´-`).。oO(赤字の理由は、原発の維持費と円安による燃料費の増加じゃないのですか?化石燃料の輸入増加の9割は単価上昇と円安の影響で、原発停止による増加は1割程度ですよ。アベノミクスの影響を原発停止にすり替えないでほしいものです。また、原発が一基もない沖縄電力は黒字ですが)
この状況が続くとさらに電気料金が値上げされる。
(´-`).。oO(東電の会長が、日本の電力料金は韓国の3倍、アメリカの2倍もするのは総括原価方式のせいだと言ってますよ)
年金生活者や会社経営している人の負担が上がってしまう。
皆様の暮らしと雇用が根本的に崩れてしまう。
(´-`).。oO(電気料金の値上げで暮らしと雇用が根本的に崩れるのですか?それなら、総括原価方式をやめて電気料金を半分すればいいですね。それに、福島は原発があったために、暮らしと雇用が崩れてしまいました)
エネルギー需給率が4%しかない日本の状況においては、安全性を確認して再稼働する。
(´-`).。oO(ウランも100%輸入ですが・・・)
再稼働したうえで新しい発電技術を確立していていくのが望ましい。
(´-`).。oO(だから、再稼働の必要がないの)
安全保障の面から、たとえばシーレーンが封鎖されてしまったとき、日本に化石燃料が入ってこなくなった時に、日本は一気に危機に陥る
(´-`).。oO(安全保障の面から言えば、原発ほど危険なものはないことぐらいわかるでしょう。何故、米軍基地の多い沖縄に原発がないかわかりますか?)
*参考
・化石燃料の輸入増加の9割は単価上昇と円安の影響。原発停止による増加は1割程度
・電力会社の赤字と原発経費の関係
・東電數土新会長 「総括原価方式があるために日本の電力料金は韓国の2倍から3倍もする、アメリカの2倍もする」
打越明司(民主、生活、維新、結い)
食料とエネルギーは日本のアキレス腱。
(´-`).。oO(えー、それならTPPに反対しましょうね)
CO2の問題、地球温暖化の問題については、原発事故以来忘れたようになっている。
(´-`).。oO(地球は温暖化していると言うデータはあるのですか?ましてや、それがCO2の影響なんてどこにあるのでしょうか?)
出来る限り原発依存率を削減。鹿児島県は再生エネルギーの宝庫です。(火山、波、風、太陽)
鹿児島は再生エネルギーの先進県にならないといけない。それが雇用を生み出す。
しかし、再生可能エネルギーを増やしても全体の一割しか発電することはできない。
安全を確保したうえので、原発一部再稼働はやむなし。
(´-`).。oO(原発稼働の基準は、安全基準ではなく、規制基準です。それをクリアーしたからと言って安全とは言えません。またその基準も世界一厳しい基準とは言えません。EUでは必須のコアキャッチャーもないお粗末なものです)
*参考
・地球温暖化詐欺_No1
・地球温暖化詐欺_No2
・渡辺正「地球温暖化の真相とは」
・武田邦彦「地球温暖化のコペルニクス」
・日欧の原子炉の違い・・・・日本はコアキャッチャーの設置義務の無い国しか輸出できない。
碩利昭(無所属)
現時点では、原発再稼働に反対です。
私の公約の核となるのは、循環型社会の実現です。この中にエネルギーの地域自給というのがある。
地域の特徴を最大限生かし、この指宿などでは地熱、風力、小水力、バイオマスを使う。
また、エネルギー効率の高い、ガスコンバインドサイクルなどもある。
<質疑>
有川美子 から 松沢力 に質問
(有川美子)
再稼働しないと雇用がなくなると言われているが、ドイツでは原発を廃炉にするということで、確実に雇用を維持したまま、新しいエネルギーを作る会社を立ち上げることで、雇用が増えている。それをご存じでしょうか?
(松沢力)
ドイツの脱原発は、隣の原発を使っているフランスから電力を輸入している。日本とは違う。
ドイツも国内で足りない分は、原発に頼っている。
(´-`).。oO(雇用の話をしているのに、電力輸入の話にすり替えている。そもそも、ドイツは電力輸出超過の国です。フランスから買わなくても足りています。フランスから電力調整の効かない原発の余った電気を安く買っているだけです。冬場は逆にフランスに輸出していますけど)
*参考
・「ドイツの脱原発はフランスの原発から電気を買っているから」を徹底的に駁す!!に補足
・ドイツの電力輸出入
<東京新聞>
自公「脱原発」公約破棄 政府エネ計画 正式了承
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040902000130.html
自民、公明両党は八日の与党政策責任者会議で、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の政府最終案を正式に了承した。与党協議は一カ月間にわたったが、「原発は重要なベースロード電源」と位置付けた政府の原発推進路線への逆戻りを追認しただけだった。政権復帰した二〇一二年の衆院選で両党が掲げた「脱原発依存」の公約破棄は明白になった。 (城島建治、横山大輔)
政府原案の是非を議論する自民、公明両党のワーキングチームは三月七日から議論を開始し、六回の会合を重ねた。だが、原発の再稼働に歯止めをかけるべきだとの意見はほとんど出なかった。
一二年衆院選で「一年でも早く原発ゼロを目指す」と公約した公明党も、再稼働には異論を挟まなかった。修正を求めたのは原発の代替エネルギーとして、再生可能エネルギーの数値目標を盛り込むことや、使用済み核燃料の再利用の見直し、高速増殖原型炉もんじゅの廃止だった。
いずれも衆院選や参院選で、脱原発依存とともに「三〇年に再生可能エネルギーの割合30%を目指す」「もんじゅを廃止する」と公約していたからだ。しかし、使用済み核燃料の再利用は見直されないまま政府案を了承。再生エネについても、本文でなく脚注に三〇年に「20%」の数値を明記し、本文でそれを「さらに上回る水準を目指す」とした政府の譲歩案を受け入れるにとどまった。
自民党は衆院選公約で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」と、将来的には「脱原発依存」を目指す考えを示していた。党内の脱原発を目指す議員からは、公約違反の政府原案に修正を求める意見も相次いだが、こうした批判は党内の大勢とはならなかった。

公約違反に対する弁明(公明党・石井政調会長)
1.「原発ゼロをめざす」という言葉が入っていない。
20年後を視野に入れて、5年間の政策を示すということなので、5年間で原発ゼロにすることは現実的でないから。
2.マニフェストでは「再生可能エネルギーは2030年に総発電量の30%の目標」。しかし、2030年に20%を上回る水準になっている。
マニフェストは25%の節電をして、7500億キロワット時の30%だから、2250億キロワット時となる。しかし、政府の計算では、2030年の20%は2140億キロワット時だから、あまり変わらない。
3.もんじゅは廃止だったのが、継続になった。
増殖の研究の施設としてのもんじゅは廃止する。しかし、政府においては、放射性廃棄物を減らしたり、半減期を大幅に減らす研究をするということで理解した。
疑問に思ったこと。
1.原発ゼロについて
再生可能エネルギーの割合に関しては、2030年の目標のことを言っているのに、原発ゼロは5年先ではできないので記載しなかったでは辻褄が合いません。
しかも、マニフェストでは、「1年でも早く原発ゼロをめざす」と言っているのに、エネルギー基本計画では「原発は重要なベースロード電源」となっている。これでは180度の転換です。
そもそも、現在は稼働している原発はないので、原発ゼロが現実です。
公明党は、何のために原発を稼働するのでしょうか?
日曜討論(2014年2月16日放送)で、石井政調会長は、「貿易赤字の解消のために原発再稼働するのではない」と言っています。
それなら、何のために、原発再稼働するのか説明すべきです。
2.再生可能エネルギーの割合について
25%の節電をおこない、再生可能エネルギーを総電量の30%するのが公約なら、25%の節電をするという公約を破っています。
3.もんじゅについて
使用済み核燃料の再利用をやめて、もんじゅを放射性廃棄物を減らす研究のために使うというのなら、わからないこともありませんが、公約である使用済み核燃料の再利用の見直しをしないで、もんじゅの継続はありえません。
そもそもプルトニウムを増殖させる高速増殖炉で、プルトニウムを減らすことができるのでしょうか?
<追記 2014年4月11日>
もんじゅを放射性廃棄物の研究目的に転用するのは、もんじゅが正常に稼働することが前提だそうです。
高速増殖炉として稼働できないから、放射性廃棄物を減らすための実験用にする、というのは根本から間違えているようです。
『文科省は高速増殖炉としてのもんじゅを諦めたのか』
自民・公明は、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発再稼働を進める方針をエネルギー基本計画に明記。
高速増殖原型炉「もんじゅ」は、放射性廃棄物の容積を減らす技術などの「国際的な研究拠点」と位置付けた。
公明党の公約では、「1年でも5年でも10年でも早く、可能な限り速やかに原発ゼロを目指します」というものだった。
「もんじゅ廃止」も反故。
毎日新聞 2014年04月03日 22時13分(最終更新 04月04日 10時18分)
エネルギー基本計画:「再生」数値目標を見送り 自公合意
http://mainichi.jp/select/news/20140404k0000m020136000c.html
◇原発は「重要なベースロード電源」、「原発ゼロ」撤回
国のエネルギー政策の中長期的な指針となる「エネルギー基本計画」について、自民、公明両党のワーキングチームは3日、政府原案について修正合意した。最終案は、焦点となっていた再生可能エネルギーの導入目標について「これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指す」と表現したが、明確な数値目標は見送った。一方、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発再稼働を進める方針を明記。民主党政権の掲げた「原発ゼロ」方針からの転換が鮮明になった。
最終案は自公両党の党内手続きを経て、11日にも閣議決定される見通し。
太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーが全体の発電量に占める割合は2012年度時点で10%。自公の修正協議で公明が数値目標の明記を求めたが、経済産業省や自民内に異論があり、最終的に「20年に13.5%」「30年に約2割」と09年と10年に政府が示した数値などを参考として脚注に盛り込むことで折り合った。
また、発電コストが低く、季節や時間帯に関係なく安定的に発電できる「ベースロード電源」としては、「地熱、一般水力、原子力、石炭」と原発以外も併記した文章を追加し、原発偏重のイメージを避けた。
将来的な原発依存度は原案を踏襲した。再生可能エネルギーの導入などで「可能な限り低減させる」とする一方、電力の安定供給などの観点から「確保していく規模を見極める」とし、事実上、一定割合で原発を維持する方針を示した。
原発再稼働も原案通りで、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発の「再稼働を進める」とした。民主党政権の掲げた「原発の新増設は行わない」の原則は盛り込まれず、将来の新設や建て替えにも道を開く内容となった。
使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す再処理や、プルトニウムを混ぜた燃料を使うプルサーマル発電などの核燃料サイクルも政府案通り「推進する」とした。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)については、放射性廃棄物の容積を減らす技術などの「国際的な研究拠点」と位置付けた。
エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法で策定が義務付けられ、前回は10年に策定。3年をめどに見直すことになっている。
【中井正裕、安藤大介】
◇エネルギー基本計画修正案(骨子)
・原子力は重要なベースロード電源
・原子力規制委員会の規制基準に適合した原発は再稼働を進める
・原発依存度は再生可能エネルギーの導入などで可能な限り低減。安定供給、コスト低減などの観点から確保していく規模を見極める
・高レベル放射性廃棄物の問題解決に向け、国が前面に立って取り組む
・核燃料サイクルは、再処理やプルサーマルなどを推進するとともに中長期的な対応の柔軟性を持たせる
・もんじゅは、廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術の向上のための国際的な研究拠点と位置づける
公明党政策集 Policy2013
http://www.komeito.com/policy2013/index.php?page=result&cd=5
原発の新規着工を認めず、原発ゼロの日本へ
40年運転制限制を厳格に適用
原発の新規着工を認めず、原発の40年運転制限制を厳格に適用します。
生活や産業、立地地域の経済・雇用、技術者の確保に万全を期しながら、1年でも5年でも10年でも早く、可能な限り速やかに原発ゼロを目指します※。
※原発の新規着工は認めず、活断層の有無等の立地条件を徹底的に調査するとともに、原子炉等規制法に定められた「発電用原子炉40年運転制限制」、最新の技術的知見を施設・運用に反映する「バックフィット制」等を厳格に適用し、かつ、競争を強化する電力自由化等を断行すれば、いわば自然減である「2030年までに現在の約2/3の原子炉の運転停止・廃炉開始」「約40年後にすべての原子炉の運転停止・廃炉開始」よりもかなり早いスピードで「原発ゼロ」に達する可能性が高い。公明党は2030年までに従来の原子力発電による発電量に匹敵する30%(大規模水力等を含め35%)の再生可能エネルギーを導入し、省エネや火力発電の高効率化を進めることによって、「原発ゼロ」に向けて万全の体制を構築する。
使用済み核燃料の再処理は、直接処分への転換を含め、立地地域に配慮しつつ、見直しを検討します。高速増殖炉もんじゅは廃止します。
自民「エネルギー基本計画案」 投稿者 kotetsu1111
<東京新聞>
集団的自衛権 「限定容認」という詭弁
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014040502000148.html
限定的なら認められる、というのは詭弁(きべん)ではないのか。集団的自衛権の行使の「限定容認論」である。政府の憲法解釈は長年の議論の積み重ねだ。一内閣の意向で勝手に変更することは許されない。
限定容認論とは、集団的自衛権の行使を「日本近海を警戒中の米艦船が攻撃を受け、自衛隊が防護する場合」など事例を限定して認めようというものだ。自民党の高村正彦副総裁が主張した。
高村氏のよりどころは、米軍駐留の合憲性などが争われた最高裁による一九五九年の「砂川判決」である。
日本の自衛権について「わが国が、存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは国家固有の権能の行使として当然」との判断を示した。
高村氏はこれを論拠に「国の存立を全うする必要最小限度(の実力行使)には、集団的自衛権の範疇(はんちゅう)に入るものはある」として、米艦船の防護などは「必要最小限度に当たる」と主張している。
政府の憲法解釈で違憲としてきた集団的自衛権の行使を、一内閣の判断で合憲とすることには公明党や自民党の一部に根強い慎重論がある。限定容認論は説き伏せる便法として出てきたのだろう。
しかし、いかにも無理がある。
個別的自衛権を有するかどうかが議論されていた時代の判決を、集団的自衛権の行使の一部を認める根拠にするのは「論理の飛躍」(公明党幹部)にほかならない。
公明党の山口那津男代表は高村氏との会談で、個別的自衛権で対応できないか、まず検討すべきだと、限定容認論に慎重姿勢を示したという。当然だろう。
集団的自衛権をめぐる議論の本質は、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国のために武力行使することが妥当か、長年の議論に耐えてきた政府の憲法解釈を、一内閣の意向で変えていいのか、という点にある。
たとえ限定的だったとしても、政府の憲法解釈を根本的に変えることにほかならない。
このやり方がいったん認められれば、憲法の条文や立法趣旨に関係なく、政府の勝手な解釈で何でもできる。憲法が空文化し、権力が憲法を順守する「立憲主義」は形骸化する。イラク戦争のような誤った戦争に巻き込まれることも現実味を帯びてくる。
限定容認なら大丈夫と高をくくってはいけない。立憲主義の危機にあることを、すべての国会議員が自覚すべきである。
<琉球新報>
集団的自衛権 「限定」で本質隠すな
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-222915-storytopic-11.html
「限定的」「必要最小限」といった説明に違和感をぬぐえない。
自民、公明両党は憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認をめぐる協議を事実上始めた。安倍晋三首相の意向を受けたものだ。自民側が「限定的」な行使容認に理解を求めたのに対し、公明側は難色を示し、平行線に終わった。
集団的自衛権の行使とは、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、関係国が攻撃された場合に、その国と一緒に戦争を始めるということだ。歴代内閣は「憲法解釈上、許されない」との見解を示してきた。
集団的自衛権の行使容認に世論の大半が反対する中、自民党は「行使を必要最小限に限定して容認する」との方針を打ち出した。
政府も行使を「限定的」に容認する原案をまとめたが、最初に全面行使論を吹き掛け、ここに来て抑制的にとどめたかのように装う手法のように見える。国民向けの印象操作ではないか。
政府の原案では自衛隊の活動範囲は日本領域と公海上に「限定」し、他国領域への派遣は認めない方向で検討するという。一見、行使容認に慎重な公明党に配慮した形だが、「限定」といっても公海上なら地球の反対側でも活動することになる。しかも、日本攻撃の意思のない国への攻撃がありうる点も変わりはない。「平和の党」を掲げる公明は、自民との協議でその真価が問われよう。
政府は行使の具体例として日本周辺の公海上での米艦船防護や日本と中東を結ぶシーレーン(海上交通路)防衛などを想定している。
だが交戦状態で、公海と他国領域を本当に区分できるのか、日本周辺で米軍だけ先制攻撃されるような事態が想定されるのか。数々の疑問が浮かぶ。何よりこれまでも米国の戦争のたびに海外派兵を含めて協力を強いられた日本外交の過去を考慮すれば、限定容認論はたちどころに説得力を失おう。
他国の戦争に巻き込まれて自国が攻撃され、自衛隊が他国民を殺し、殺されるかもしれない-。その覚悟を国民が共有しているのか。合意が得られている状況には程遠い。
安倍政権は夏以降に憲法解釈変更の閣議決定を目指すが、歴代内閣が積み重ねた解釈を国民的議論も尽くさず、憲法改正の手続きも経ずして変える暴挙は許されない。「限定」といった言葉で議論の本質を隠してはならない。
<河北新報>
集団的自衛権/限定容認、歯止めにならず
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20140405_01.html
集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直しに向け、まずはハードルを低めにして、風穴を開けることを優先するということなのだろう。
政府が固めつつある、いわゆる「限定容認論」である。従来の解釈を改めて、憲法が認めている「必要最小限度」の自衛権の範囲内に、一部の「集団的自衛権行使」も含まれるとする内容。自衛隊の活動範囲は日本領海と公海上に限定し、他国領内への派遣は認めない方向だ。
自民党内の消極派と、何より慎重姿勢を崩さない公明党の抵抗感を和らげる思惑がのぞく。
党内論議を主導するのは自民党の高村正彦副総裁。始まった自公協議でも、最高裁の砂川判決を引き合いに限定的な行使容認であれば、憲法解釈の変更は許容されるとの見解を示し、公明党の理解を得たい考えだ。
あくまで限定的な容認を強調することによって、集団的自衛権行使の名の下に「地球の裏側まで出掛けて行って戦闘行為などに加担する」といった懸念を取り除く狙いがある。
ただ、限定は曖昧なものになりそうだ。憲法解釈の変更を閣議決定する際、活動範囲や行使の具体例は明記せず、国会答弁で他国での行使は「認めない」と説明するという。
担保するのが首相答弁では、明確な「歯止め」になり得まい。答弁の変更は十分あり得るし、自衛隊法などの法律で活動範囲を制約したところで、法律の改正も可能だ。
憲法解釈のたがさえ外せれば、後々の情勢変化に合わせ、内容などを拡大できる。小さく産んで…と読めてしまう。
そもそも「限定容認論」を厳格に解釈すれば、認められている個別的自衛権で相当程度、対応できるのではないか。
シーレーン(海上交通路)防衛とともに、集団的自衛権行使の具体的な状況として、政府が想定する朝鮮半島有事で、自衛隊が公海上で攻撃を受けた米艦船の防護に当たる場合、周辺事態法など現行法の改正で対処できるとの見方がある。
集団的自衛権の行使容認は、事実上の憲法改正を意味し、国の針路にも関わる大転換だ。その必要性と適否について、熟慮が欠かせず、当然、国民の理解を得る慎重な手続きも要る。
その点、時の政権の判断で何とでもなる閣議決定という手段は、適切だろうか。やはり、憲法改正で臨むのが筋だ。
自民党内は「限定的な行使」容認が大勢となっている。今後、具体的な行使の範囲をめぐり議論が本格化する見通しだ。
共同通信社が先月実施した世論調査で、集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更に反対が、賛成の倍近い57.7%に上り、前回2月の調査より6.7ポイント増加した。現実味を帯びるにつれて不安が高まっている印象だ。
国民の意向を置き去りにする形で、与党内の合意形成を急いではならない。限定が限定にとどまらない事例は数多い。そうした危うさも踏まえ、結論ありきで臨ぶべきではない。
<北海道新聞>
集団的自衛権 限定容認論は通らない
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/531016.html
政府が集団的自衛権の行使を限定的に認める原案をまとめた。憲法が許容する必要最小限度の自衛権の範囲に、一部の集団的自衛権行使も含まれると憲法解釈を改めるのが柱だ。
これを受け、自民党は安倍晋三首相直属の「安全保障法制整備推進本部」で党内調整を本格化させた。「限定容認」の結論ありきで議論が進み始めている。
だが集団的自衛権問題の本質は、日本への武力攻撃がないのに、他国のために武力行使することが憲法で認められるか否かにある。
歴代政権は「認められない」との憲法解釈を一貫して維持してきた。これをいったん「認められる」と変えてしまえば、米国の要請を受ける形で行使の範囲は拡大し、歯止めが効かなくなるだろう。
行使を限定しても、解釈変更が憲法上、許されないのは明白だ。
自民党所属議員は限定行使など通用しないことを肝に銘じ、白紙から慎重な議論を尽くすべきだ。
政府原案は自衛隊の活動範囲を日本領域と公海上に限定し、他国領域への派遣は認めない方向だ。
高村正彦副総裁は安保法制本部の初会合で、限定容認論を正当化する根拠として、在日米軍の合憲性が問われた1959年の砂川事件の最高裁判決を挙げた。
高村氏は、判決が「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」を認めているとし、集団的自衛権も限定すれば行使可能と主張した。
だが、これは明らかに誤った解釈だ。判決は集団的自衛権行使を認めたものではない。その証拠に、判決後も政府は、行使が必要最小限度の自衛権の範囲を超えるとの判断を堅持している。
公明党の山口那津男代表が「砂川判決は集団的自衛権に直接触れていない」として、同調しない考えを示したのは当然である。
首相は当初、全面的な行使容認を目指し、安保法制懇に対し、第1次政権当時に議論の対象とした公海上の米艦船の防護など4類型以外の議論も求めた。
だが、公明党だけでなく、自民党内からも慎重論が出るや、限定容認論にかじを切った。
憲法解釈変更の突破口だけ開いておけば、後はいくらでも拡大解釈できると考えているのだとすれば、憲法軽視もはなはだしい。
自民党本部初会合では、高村氏の主張に対し明確な反対意見は出なかった。こんな議論がまかり通るようでは政権与党としてあまりにもお粗末と言わざるを得ない。
武器輸出三原則見直しの閣議決定に関する各新聞の論調
<東京新聞>
武器輸出 実質解禁 平和国家が紛争助長も
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040202000117.html
政府は一日の閣議で、武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を四十七年ぶりに全面的に見直し、輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を決定した。武器輸出の拡大につながる抜本的な政策転換で、憲法の平和主義の理念が大きく変質する。日本でつくられたり、日本の技術を用いた武器弾薬が海外で殺傷や破壊のために使われ、紛争を助長する恐れもある。
小野寺五典防衛相は一日の記者会見で、新たな三原則の閣議決定を受け「従来の三原則に抵触する可能性を抜きに、さまざまな検討ができる環境になった」と武器輸出の実質解禁を宣言した。
新原則は(1)国連安全保障理事会の決議に違反する国や、紛争当事国には輸出しない(2)輸出を認める場合を限定し、厳格審査する(3)輸出は目的外使用や第三国移転について適正管理が確保される場合に限る-と定めた。足かせが多いように見えるが、政府統一見解で輸出を原則禁じ、例外として限定的に許可してきた従来の三原則からの大転換。一定の審査を通れば輸出が可能な仕組みになり、重要な案件は国家安全保障会議(日本版NSC)が非公開会合で可否を最終判断する。認めた場合には適宜、公表するという。
防衛省によると、新原則で禁輸対象となる「国連安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する」のは十二カ国。従来の原則から紛争の「恐れのある国」との表現を削除した「紛争当事国」は現時点で該当国はない。輸出の審査基準も「わが国の安全保障に資する場合」などと曖昧で、政権側の都合で拡大解釈される懸念が強い。
武器輸出の解禁は、安倍晋三首相が強い意欲を示す集団的自衛権の行使容認に向けて、同盟国の米国や友好国と共同開発や技術協力で軍事的な連携を強める狙いもある。小野寺氏は「共同開発に積極参画できる」と言う。
首相は二〇〇六年に発足した第一次政権時から、将来的な改憲を意識。約一年の在任中、防衛庁の省昇格や国民投票法の制定など、安全保障体制を強化する政策を実行した。
五年ぶりに政権復帰すると、米国などと機密情報を密接に交換するための日本版NSCをつくり、情報漏えいへの罰則を強化する特定秘密保護法も制定した。武器輸出解禁で安倍政権の安全保障体制強化の取り組みがまた一歩進み、次の目標は集団的自衛権の行使容認に移った。
<産経ニュース>
武器輸出新原則を閣議決定 国際共同開発を促進
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140401/plc14040121220031-n1.htm
政府は1日、実質的な全面禁輸方針とされる武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。防衛装備品の第三国への移転に際し、政府に義務付けられている事前同意の手続きで例外を設け、国内企業の国際共同開発・生産への参加を促進する。
新原則は(1)国連安保理決議の違反国や紛争当事国には移転しない(2)平和貢献・国際協力の積極推進や我(わ)が国の安全保障に資する場合に限定し移転を認め、透明性を確保しつつ厳格審査(3)目的外使用および第三国移転について適正管理が確保される場合に限定-の3本柱で構成される。
慎重な審議が求められる重要案件は政府の国家安全保障会議(NSC)で輸出の可否を判断。輸出する場合は結果を公表する。それ以外の装備品の輸出件数や輸出先などの全体像も年次報告書として公表し、透明性を確保する。

<高知新聞>
【武器輸出新原則】平和国家の理念が崩れる
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=318072&nwIW=1&nwVt=knd
政府が、「武器輸出三原則」に代わる新たな「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。
武器や関連技術の輸出を原則禁じる政策から、輸出拡大路線への転換となる。名称の変更とともに、これまで日本を支えてきた平和国家の理念が崩れ去りかねない。
新たな原則は①紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めない②輸出を認めるのは平和貢献や日本の安全保障に資する場合に限り、透明性を確保し厳格審査③目的外使用や第三国移転は適正管理が確保される場合に限定―が柱だ。
1976年に強化された従来の三原則は、歴代政権によって例外の拡大が進んできたとはいえ、全般に武器輸出を抑制する立場だった。これに対し新原則は武器輸出に積極的に乗り出し、禁輸が例外となる。基本が逆転するといってよい。
一例は、紛争の「恐れのある国」を禁輸対象から外した点だ。それによって、中東諸国との緊張状態が続くイスラエルなど、紛争に関わる可能性が高い国への輸出に制限がかからなくなってしまう。
厳格審査をめぐっては、慎重な検討が必要な重要案件は首相らが国家安全保障会議(NSC)で審議するとしている。だが、政府の姿勢でどうにでもなるようでは、野放図な輸出を防ぐ歯止め策とは到底いえないだろう。
さらに、目的外使用や第三国移転の歯止めとなる日本の事前同意についても、義務付けない例外さえある。
積極的な武器輸出に転じた結果、紛争に加担したり、地域の緊張を助長したりする恐れも出てくる。憲法に基づく平和国家の看板が築いてきた国際社会の信頼は損なわれ、日本が敵意の対象となる可能性もあるだろう。
平和主義を象徴する国是の全面見直しに対する国民の理解は深まっていない。世論調査では3分の2が反対し、公明党はむろん、自民党の支持者でも過半数を占める。にもかかわらず、政府は与党の了承だけで閣議決定へと突き進んだ。
安倍首相は武器輸出三原則に続き、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を目指している。「積極的平和主義」の名の下に「国のかたち」を転換する動きを見過ごすことはできない。国会での慎重な審議と国民の十分な理解が不可欠だ。
<琉球新報>
防衛装備移転三原則:殺傷能力の高い武器…輸出できる余地
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-222754-storytopic-3.html
政府は1日、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、1976年以来続けてきた武器の全面禁輸方針を転換した。新原則は、従来の禁輸方針のもとで「例外化措置」としてなし崩し的に輸出を認めてきた個別の事例を整理し、ルールを明確にするとともに、将来の輸出拡大に備えるため枠組みに幅を持たせている。政府の運用次第では、日本が掲げる「平和国家」の意味合いが変化することになりそうだ。
新原則は前文で、安倍晋三首相が提唱する「積極的平和主義」の理念を援用し、「新たな安全保障環境に適合するよう、これまでの例外化の経緯を踏まえ、明確な原則を定める」と抜本見直しの狙いを説明した。これは、昨年末に策定された国家安全保障戦略の考え方に沿ったものだ。小野寺五典防衛相は1日の記者会見で「例外化措置は21件に上っており、包括的な新原則を定めるのが現実的だ」と述べた。
小野寺氏は「装備品の国際共同開発についてさまざまな国と積極的に意見交換できるようになる」とも指摘。政府は新原則によって、戦闘機の国際共同開発への参加のほか、安全保障面で協力関係にある国に対し、救難、輸送、警戒監視、掃海に関する装備品の輸出などがしやすくなるとみている。
新原則は、国家安全保障会議(NSC)が輸出の可否を審議する重要案件に関しては政府が情報公開を図ることとし、「これまでの平和国家としての歩みを堅持する」とも明記した。このため、戦車や戦闘機の完成品のような殺傷能力の高い武器の輸出は「現時点では想定していない」(政府関係者)という。
しかし、新原則には「殺傷能力の高い武器」の禁輸規定はなく、必要が生じれば輸出に踏み出せる余地を残している。三原則の基本理念も「国際紛争の助長回避」から「国連憲章の順守」に変わった。首相は国会で「テロとの戦いなど国際社会の平和と安全のための紛争もある」と答弁しており、紛争を助長する恐れがある場合でも、新原則によれば、政府は輸出の可否を判断できる。
防衛省幹部は「新原則によって即座に政府の対応が変わるわけではない。見直しの最大のポイントは、将来の安全保障環境の変化に対応できる仕組みを作ったことだ」と指摘している。【青木純】
<北海道新聞>
武器輸出新原則 高まる紛争助長の恐れ(4月2日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/530784.html
平和国家の証しとして半世紀近くにわたって堅持されてきた国是が、いともあっさり撤廃された。
政府は武器輸出を原則禁じる武器輸出三原則を見直し、輸出に幅広く道を開く「防衛装備移転三原則」をきのう、閣議決定した。
新原則は一定の条件を満たせば輸出を認める。その際の判断基準は曖昧で、解釈次第でなし崩し的に輸出を拡大できる。旧原則の基本理念「国際紛争の助長回避」も盛り込まれていない。
安倍晋三政権は国民の反対も多かった極めて重大な政策転換を、国会議論もほとんどないまま短期間で閣議決定してしまった。国民無視の暴走と言わざるを得ない。
国会は首相のこうした政権運営を徹底追及すると共に、武器輸出を最小限に抑えるため、政府の新原則運用を厳しく監視すべきだ。
新原則は《1》紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めない《2》輸出を認める場合は限定し、透明性を確保し厳格審査《3》目的外使用や第三国移転は適正管理が確保される場合に限定―と定める。
公明党の意向で禁輸対象に「紛争当事国」を残したが、「武力攻撃が発生し、国連安全保障理事会が措置を取っている国」と狭く定義した上、旧原則にあった「紛争の恐れのある国」は削除した。
この結果、パレスチナ紛争当事国であるイスラエルや中東諸国などへの輸出に事実上制限がかからず、日本の武器や技術が国際紛争を助長する恐れは格段に高まる。
輸出を認める判断基準は「平和貢献や日本の安全保障に資する場合」と抽象的だ。
政府は重要案件については首相ら国家安全保障会議(NSC)の判断を仰ぐことで野放図な輸出拡大の歯止めになるとしている。
だが新原則は、国際的な武器の共同開発参入を目指す防衛産業や米国の要請を受け、首相が率先して導入した。NSCの判断が輸出拡大に向かうのは間違いない。
秘密性が高いNSCの議論がどこまで公開されるかも疑問だ。
共同通信の世論調査では旧原則緩和に66%が反対した。にもかかわらず首相は、見直し方針を打ち出してから3カ月余りで国会議論も経ずに閣議決定してしまった。
政権担当時に旧原則を大幅緩和し、新原則に反対しなかった民主党など一部野党の責任も重大だ。
安倍政権は集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更も同様の手法で行おうとしている。
首相のさらなる暴走を許すなら、野党は存在意義を問われよう。
<朝日新聞>
武器輸出「新三原則」を閣議決定 原則禁止を改める
http://www.asahi.com/articles/ASG41033ZG30UTFK00T.html
安倍内閣は1日、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。旧三原則での原則輸出禁止を撤廃し、一定条件に沿う輸出を認める。
旧三原則は1967年に策定され、三木内閣が76年、武器輸出を原則禁止とした。その後、輸出する場合は個別に官房長官談話を出して例外を認めて公表した。一方、今回の新原則では新たに三つの条件を定め、それに沿えば、武器の輸出を認める。公表も重要な案件に限られる。
新原則は輸出の条件として、①国際条約の違反国などには輸出を禁止する②輸出を認める場合を限定し、厳格に審査し情報公開する③目的外使用や第三国への移転が行われないよう適正管理する――と定めた。
輸出禁止の具体例には、対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約などの違反国、北朝鮮やイランなど国連決議で輸出が禁止された国と紛争当事国がある。
<西日本新聞>
武器輸出新原則 平和国家の信頼を損なう
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/79596
憲法の平和主義の反映として、ほぼ半世紀にわたり維持されてきた重要な政策が、大きく転換することになる。
政府は、武器や関連技術の輸出を事実上禁止してきた「武器輸出三原則」を見直し、新たな輸出ルールとなる「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。
従来の三原則は1967年に「紛争当事国やその恐れのある国」などを禁輸対象と決め、76年に全面禁輸に拡大した。その後は禁輸を基本として、例外的に輸出を認めるというルールだった。
これに対し新原則は、「国連決議に違反」など限られた条件に該当する国以外は基本的に輸出可能とした上で、「平和貢献や日本の安全保障に資する」などの条件に基づき審査する仕組みだ。
武器輸出について、抑制から積極姿勢へと大きくかじを切った。集団的自衛権の行使容認論議とともに、軍事面においても国際社会で日本の存在感を高めようという安倍晋三首相の意向を強く反映した新方針といえよう。
この新原則による政策転換が、戦後日本が平和主義によって築いた国際的な信頼を、少しずつ損なっていくことにならないか。
懸念の一つは、輸出先がなし崩し的に拡大され、結果的に国際紛争の助長に加担してしまうのではないか、という点だ。
旧原則では「紛争当事国やその恐れのある国」を禁輸対象としていたのに対し、新原則は「恐れのある国」を外した。中東など潜在的に紛争の火種を抱える地域への輸出も可能ということなのか。
審査の透明性も課題だ。これまでは例外的に輸出を認めるたびに、官房長官が判断理由を説明してきた。今後は輸出件数や品目をまとめた年次報告書を公表するというが、輸出の可否を審査する過程や論議の実態がどこまで明らかにされるか、はっきりしない。
これほど重大な政策転換が、国会で本格的な論議もないまま、与党間の調整だけで事実上決定されてしまった。この政治状況にも、不安を覚えざるを得ない
公明党政策集 Policy2013
http://www.komeito.com/policy2013/index.php?page=result&cd=5
使用済み核燃料の再処理は、直接処分への転換を含め、立地地域に配慮しつつ、見直しを検討します。高速増殖炉もんじゅは廃止します。
NHK もんじゅ 当面活用で自公大筋合意
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140324/k10013207941000.html
この中で自民党は、国の核燃料サイクル政策の柱となっている高速増殖炉「もんじゅ」について、「放射性廃棄物を減らす研究などを行う施設として位置づけ、将来も活用していく方針を打ち出すべきだ」と主張しました。
これに対し公明党も理解を示し、当面「もんじゅ」の活用を続けることで大筋で合意しました。
やっぱり公明党は下駄の雪でした。

ドイツの風刺番組、日本政府と御用学者を強烈に風刺。さて みなさん
われわれは、今、記念日を迎えました
三年前の二月
ドイツの電力会社は、日本に商売を潰されました
そう、フクシマ三周年です
えっと 結婚三周年は、何と言うんでしたっけ
そうそう、”セシウム婚式”
今では ドイツの脱原発は、間違いだったかもしれないと言う人も多いです
何故って...?
ドイツの再エネ政策を進めているのが、こういう専門家だからです
へたな大学卒よりは、優秀ですよ!
視聴者にも、大卒が 多いようですね
しかし エネルギー転換は、本当にカオス状態です
各州は 勝手ばかり言い、再エネ賦課金のせいで電気代は上がる一方
そうそう 覚えてますか?
ペーター・ラムザウワー
この彼ね...
ヤギ飼いペーター
昔、運輸大臣でしたね
今は ただのペーターですが...
『シュピーゲル』紙で、大真面目に こう発言しました
”電気代を下げたければ...原子力に戻るほかない”
ほんとに、こう発言してるのです
残念ながら、彼だけではありません
エネルギー転換に、イライラして、突然原発を賛美しなおす人が沢山います
例えば、今日、イザ第二原発前で、デモをしている彼...
”稼働延期”を求めているそうです...
賛同者の数は、まだ限られているようですが...
「だから?」
「どんな運動も、最初は小さく始まるんだ!」
「それに われわれの名前も もう決まった!」
”プルトニウムの友”Freunde des Pllutoniums
略してFDP!(ドイツ自民党)
「僕は FDPの金庫番 兼...かわいいマスコットの”フクちゃん”です!」
”フク”って まさか、フクシマではないですよね?
「もちろん!」
「ヒステリックなドイツ人は、日本人を見習うべきです!」
「彼らは 全然気にしてない!お寿司が光って 便利だなってなもんです」
「電気代も節約できちゃうぞっと!」
冗談はやめてくれ
事故から三年たっても、汚染水が無制限に漏れてると言うのに
「そんなのは、風力ロビーのデマだ!」
「福島医科大による最新の医学発見を知らないのか?」
”放射能の影響はニコニコしている人には来ません”
”しかし クヨクヨしている人には来ます!”
”これは 動物実験で わかっています”
「動物実験で証明されたんですよ!」
「例えば このハリネズミ...」
「クヨクヨしなければ、長生きしてたんだ」
「トラックに轢かれたのは、残念だが...」
「ゴジラ博士の言うとおりだ!
ニコニコしていれば 被ばくなどしない!」
とにかく わが国で、原発を賛美する人は
全員、フクシマに三週間ほど保養に送るのがいいようです
フクシマの方々は、かわいそうに、今も政府にバカにされてるのですよ
「私は被ばく検査を受けたところ...どれいくらいかと聞くと
”こんなに高い被ばく量は見たことがない” と言われました」
「”被ばくの世界チャンピオン”” だと」
「すごいスピリットだぜ!」
”げぇ 被ばくしちゃったぁ...” なんてドイツ人とは大違い!
それじゃダメだ!
”勝ったぜ!”
”被ばくチャンピオンだ!”
今にわかります
再エネ賦課金が、9セントまで上がれば
FDP(プル友)の出番です
キャンペーンも準備してある
ようこそ原発!
命にかかわるけど
死ぬ前に
電気代は節約できるぞ!
ここでひとつ、デモンストレーションを...
この燃料棒を 舐めてみせます!
ちょっと待って...
ニコニコすれば、放射能は来ない...!
死んでも、誰も悲しみませんね...
デニス・クノッサラでした
FDP(プル友)所属
アルタの中では、にこやかな会話
しかし、
アルタの外では、罵声が飛び交う
アルタの外の様子は、マスコミは報道しません。
マスコミが報道しない映像を広めましょう!!
こんな、100人アンケートだったらおもしろかったのに・・・
『汚染水は港湾内で、
完全にブロックしてると思う人、スイッチオン』

ネカーヴェストハイム反原発デモ
ジャーナリストおしどりマコさんも、ここなら自由な行動が許される
日本国内とは違って、ここでは みんなが
彼女の取材内容を知りたがっているのだ
報道ジャーナリストの彼女のテーマは原発
「私は 福島原発事故について、取材しています」
「原発作業員の労働条件や健康状態についてや
汚染地域の住民が置かれている現状について」
そのために、医師や専門家、汚染地域の家族を訪ねたり
原発作業員と話をしたりする
東電の記者会見にも、いつも出席し
被ばく基準値などについて調べる
彼女の記事は主に週刊誌に発表される
ここドイツではステージから2011年3月11日の被害について
自由に報告することができる
その日 大地震と津波が福島原発を破壊し
三つの原子炉が、メルトダウンした
おしどりマコさんの人生も、この日から変わった
真実を明かそうと、政府や東電を
都合の悪い質問攻めにし
彼らの隠ぺいを暴こうとする
そして壁にぶつかる
「東電を批判する記事を載せてもらおうとしたら
東電をほめる記事も三つ出すのが条件と言われました」
「東電がものすごい圧力をかけたのです」
結局『婦人公論』は、記事を出さなかった
マコさんは条件を飲まなかったのだ
(フィリップ・アブレシュ ドイツ公共第一テレビARD特派員)
原発批判をする記者は、圧力を受け、契約もなくなると、よく耳にします
長年司会をつとめた番組からおろされたり、クビになったり
福島の現場の状況を知りたいと思って
当たり前の質問をしただけなのに
事実を知らせようとするだけで、すぐに圧力が掛けられるのです
東電記者会見でのマコさんは、執拗だ
何人の作業員が亡くなったのか、しつこく質問する
広報官は、フレンドリーに質問をかわす
内部メモ:「マコちゃんは適当なとこでカットしてください」
それでもダメなときは、ハンディが与えられる
「テレビのトークショーに出演するときに
“東電”と“原発”という言葉を使ってはいけないと言われました」
「この条件で原発のことを話すのは難しいので 出演を断りました」
トークショーの名前を聞くと、マコさんは口をつぐんだ
編集部に迷惑を掛けたくないという
遠いドイツに来ても、一言一言、慎重だ
日本では、取材相手に会うとき、監視されている気がすると言う
日本政府は、三ヶ月前国家秘密を保護するための新たな法案を可決した
何が国家秘密なのかは、政府が決める
違法者は罰せられる
フクシマが国家秘密になることが懸念されている
「法案はまだ、実施されていないのに
沢山の知人が、情報を話してくれなくなりました」
「国立大学の研究者や省の役人などは
怖がって 何も話してくれなくなりました」
法案の影響について、まだ即断はできませんが
多くの記者が、福島について報道が難しくなると危惧しています
原発現場の状況が、秘密に指定されるかもしれません
情報提供者は、ますます少なくなり
記者は、取材や記事の発表を、ますます慎重にせざるを得なくなると
政府に対する批判を公けに行なうフリージャーナリストは 日本では少ない
マコさんは、事故前は コメディアンだった
今でも夫婦で、テレビや舞台に出演する
「コメディアンとして、テレビにも出演していました」
「しかし事故後、原発について話さない方がいいと言われました」
「それで、なぜ話してはいけないのか、本当のことが知りたくなったのです」
禁止されたことが、真実を探るキッカケだった
これほど自由がないとは、誰も思わなかった国へ
マコさんは帰国する
まだまだ取材は終わっていないからだ
公明党に武器輸出三原則撤廃に反対する要請書を提出しょうとしたが、公明党が頑なに拒否秘密保護法を考える市民の会
明日(3/19)★緊急拡散★「STOP!武器輸出 引き返してよ!公明党」3・19
http://stophimitsu.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/319stop319-55d2.html
要請書
公明党代表 山口那津男様
今こそ、急ブレーキを踏んで武器輸出国への大転換に反対してください。
安倍政権は、「武器輸出禁止三原則」を撤廃し、新たな「防衛装備移転三原則」を早ければ3月28日(金)にも閣議決定しようとしています。「原則禁止」から「原則可能」への大転換です。半世紀近くにわたって、「日本は死の商人にならない」とのメッセージを伝えてきた武器輸出禁止政策が遂に覆されようとしています。
「国是」とも言われ、憲法9条や国会決議に基づく重要な平和原則を、閉ざされた与党協議と閣議決定のみで撤廃することは、到底認められません。
共同通信社が2月に実施した全国世論調査では、武器輸出三原則の撤廃に反対するとの回答は、実に7割近く(66.8%)に上りました。
少なくとも、国会での十分な時間をかけた集中審議や参考人質疑、全国各地での公聴会などを積み重ね、民意の大多数の賛同を得たうえで、衆参両院で国会決議を行わない限り、武器輸出三原則の撤廃は許されません。驚くべきことに、武器輸出三原則が依って立つ平和国家としての基本理念とは、武力により国際紛争を解決しないという憲法9条の理念だったにもかかわらず、新たな原則では、国連憲章を順守することにすり替えられています。
しかも、「武器」を「防衛装備」に、「輸出」を「移転」に言い換えることで、戦後の国是の廃止という重大な本質をごまかそうとさえしています。「平和貢献」や「日本の安全保障に資する」などの条件は、極めて恣意的であり、それが何ら歯止めにならないことは、紛争当事国そのものであるイスラエルへの輸出さえも排除されないことに明らかです。
世界に類を見ない先進的な武器禁輸政策を自ら葬ることは、世界の平和や軍縮にとっても、大きな損失となるでしょう。むしろ必要なことは、武器禁輸政策を強化し、世界に広めていくことではないでしょうか。
武器輸出は、安倍政権が進める秘密保護法や集団的自衛権の行使とも連動していく恐れがあります。
日本が輸出した、あるいは共同開発に加わった武器が他国の人々に襲いかかるときに反対しても手遅れです。今ならまだ間に合います。
「平和の党」「政権のブレーキ役」を自任する公明党は、小手先のごまかしに加担するのではなく、政権離脱のカードを切ってでも、平和主義の破壊を食い止めるべきではないでしょうか。 民意を無視した政策転換の強行は、歴史に禍根を残すことになります。
今こそ、急ブレーキを踏むときです。
掛け替えのない武器輸出禁止政策を投げ捨てることをやめてください。
2014年3月19日 秘密保護法を考える市民の会 参加者一同
29分だった其の弐に新しい内容が追加され、43分になってます。福島第一原発。
事故発生から三年が過ぎたが
今でも緊急事態のままだ。
2020年に日本はオリンピックを開催することになった。
そして日本政府は、世界を安心させようと必死だ。
(テロップ)日本総理大臣 安倍晋三
「私から保証をいたします。
状況は統御されています」
首相の発言がどこまで信用できるのか
われわれは調べることにした。
調査を進めていくと、犯罪社会の心臓部に
導かれていった。
ヤクザの手先が人を集めて、福島に派遣しています。
私たちは、事故の被害が隠ぺいされ、
黙殺されていることを突き止めた。
事故のあった原子炉から離れた場所にいる
科学者たちを訪ねた。
高濃度に汚染されたホットスポットや
放射性物質が溜まる場所を発見しました。
すべてがコントロールされているというのは本当なのか?
(テロップ)京都大学原子炉実験所 小出裕章
残念ながら「アウト・オブ・コントロール」ですね。
そしてなにもコントロールできていないので
放射性物質は環境に漏れ、
放射能汚染が日々広がっているのです。
(テロップ)フクシマの嘘 第2弾
双葉町。
ここは福島第一原発と目と鼻の先にある。
特別許可を得ないと、数時間の滞在も許されない。
双葉町はいわゆる警戒区域である。
ここにはもう誰も住めない、
おそらくもう永遠に。
町の中心にかかっている標語
「原子力 明るい未来のエネルギー」
まったく別の時代につくられた言葉だ。
井戸川克隆氏、双葉町の町長だった。
古い武士の家系出身で
先祖代々五百年以上ここで暮らしてきた。
誇り、誠実、責任感といった徳が
何百年にわたって家族で受け継がれてきた。
井戸川家の跡継ぎということは
私は井戸川家の墓守なのです。
(テロップ)双葉町元町長 井戸川克隆
私にはご先祖様の墓を守り、
世話をする義務があります。
そしてこの義務を次の世代に
受け継いでいかなければなりません。
しかしこんな状態では、もう誰にも
引き継いではもらえません。
(テロップ)井戸川美紀子
妻として、私は死ぬまで先祖に
礼をつくすつもりでした。
それがもうできないというのは、
胸が引き裂かれる思いです。
戦争、地震、津波といった災難を
井戸川家は乗り越えてきた。
しかし何百年と続いた後で、
この家族の歴史は今
ここ双葉で終わろうとしている。
誰も原発事故とそれが引き起こした出来事の
責任を取ろうとしない。
まったく恥知らずばかりだ、と彼らは語る。
日本では東電が好き勝手にしたい放題で
自分たちのことしか考えていません。
政府はそれをそのままに放っておきます。
政治家は原発ロビーのいいなりです。
私は、それを世界中の人々に知っていただきたい。
郡山。
フクシマの事故現場から55キロのところにあり
20キロの立ち入り禁止地区からは大分離れている。
私は毎日放射線の線量を測定しています。
ここは子供たちの通学路なのです。
それで原発事故のあと、測定を始めました。
(テロップ)根本淑栄、教師
事故が起こる前は、測定など
したことがありませんでした。
根本淑栄さんは学校の先生で、一人息子の母親だ。
彼女が立ち入り禁止地区からこれだけ離れた場所で
放射線測定を行うのには理由がある。
ここには、立ち入り禁止地区よりも
線量の高い場所があるのだ。
子供が小さかったころ、みんな
よくこの近所で遊んだものでした。
この場所がどこも汚染されていると
思うと、とても悲しくなります。
できるだけ見ないようにしています。
だって、とても我慢できないからです。
いつも泣きそうになってしまいます。
このことはまったくマスコミでは報道されません。
ここは、あらゆる問題を抱えて
悩んでいる人ばかりですが
でも、誰もここに来て、どうしているかと
聞いてくれはしません。
ですから、私たちはもう
忘れ去られているのだと感じています。
現実に向き合おうとするのは
本当につらいです。
浪江町
福島第一原発から14キロのところにある。
畜産農家の吉沢正巳氏は
ここから避難するのを拒否した。
私は牛飼いですからね
私は牛抜きでは暮らせない。
(テロップ)畜産農家 吉沢正巳
350頭の牛と私は運命を共にしたいのです。
牛も被爆し、人間もまた被爆します。
よくどうしてそんな危険なところに、と聞かれます
私はもうすぐ60になるんですが
被爆で寿命が短くなるとは思っていません。
でも、牛を見捨てるわけには絶対いきません。
経営者が避難してここを離れていった後
吉沢さんは牛の世話を受け継いだ。
牛を放っていくことはどうしてもできなかった。
動物の多くにしかし、変化が見られる。
牛に現れた変化を、国に検査してもらたんです。
これが結果なんですが
私は、これは被爆の影響だと思ってます。
黒い和牛にこうして突然
白いまだらの斑点模様がいっぱいできたんです。
政府はそれを検査した。
だけどわからない、と言うんですね。
こういう症状が出ているということはわかっても
原因はわからない、と。
福島の原発事故によって引き起こされた影響が
あらゆるところで出ている。
しかし、破壊した原子力発電所自体では今まだ
どのような危険 が進行中なのだろうか?
大阪にある京都大学の原子炉実験所
私たちは小出裕章氏に取材した。
小出氏は原子力物理学者で
40年以来ここで研究している。
原発事故発生以来ずっと、彼は
その進展を見守ってきた。
政府や原子力業界が発表しているのよりずっと
状況はひどい、と彼は言う。
残念ながら「アウトオブコントロール」と
いわざるを得ませんね。
(テロップ)京都大学原子炉実験所 小出裕章
そしてなにもコントロールなどできていないからこそ
放射性物質が外に放出され、
放射能汚染が毎日広がっているのです。
コントロールできていない?
日本だけでなく世界も変えてしまうかもしれない場所
いまだに広島の原発より
1万倍以上という放射能が潜む場所。
小出氏は、首相の発言に鋭く異議を
唱える理由を説明してくれた。
1号機から3号機までメルトダウンしてしまいましたが
その溶けた炉心がどこにあるのか、わからないのです
この炉心は冷却しなければいけないので
水を原子炉建屋に注入しています
しかし、溶けてしまった炉心に水をやっているので
水は放射能で汚染されます
それは変えることができません。
そして建屋にはひびや割れ目がたくさんあるので
そこから地下水が入ってきています。
東電は、その水を循環回路でさらに利用するので
タンクで一時的に貯蔵するといっていますが
もちろん水を全部くみ上げることは不可能です
福島第一原発の敷地はもはや
放射能の泥沼と化してしまったのです。
付近の井戸からは
高濃度の放射性物質が検出されました
もちろんその一部は海に流れ出ているわけです
数階分が水浸しになっている。
そしてその下のどこかに溶けた炉心がある。
つい最近も、建屋周辺にある
観測井戸で採取した地下水が
1リットル当たり500万ベクレルのストロンチウムに
汚染されていることを東電が知りながら
半年も隠していたことがわかったばかりだ。
今でも毎日200トン以上の高濃度の汚染水が
太平洋に流れ出ている。
それに加え毎日40万リットルの水がくみ上げられ
このようなタンクに貯蔵されている。
今ではこうした汚染水が4億リットルもある。
これまでにすでに何度も問題や水漏れが起きている。
東電が経費節約のため放射性物質の貯蔵に
適していないタンクを選択したからだ。
日本政府は、これまでに放出された放射線量は
概算しておよそ広島の原爆の168個分だけだと言っています
チェルノブイリ事故で出た放射能の
5分の1だと
しかし福島からは、汚染水が常時
海に排出され続けているのです
環境に放出された放射線の総量はすでに
チェルノブイリと同じ程度だと私は考えています
そして現在でもまだ、事故は進行中です
しかし、どうしてこれほどの事態に
なってしまったのだろうか?
東京で私たちは馬淵澄夫氏と会った。
彼は事故発生当時大臣を務め
事故の対応担当者として事態収束に取り組んだ人物だ。
彼は、事故発生直後に、最悪事故の規模に関し
東電がどうも真実を隠しているという疑いを持ったという。
(テロップ)2010年~2011年の管政権内閣総理大臣補佐官 馬淵澄夫
放射能に汚染された水が漏れているかという質問をすると
東電は、水は漏れていない
そんなことはありえないと、答えました
地下水はどうなっているかと聞くと
東電は、心配は無用だ、と答えました
でも、それは私には疑わしく思えたので
そこで私は地下水の検査をするよう命じました
東電が嘘をついていたことは、すぐに明らかになった。
産業界と科学者による馬淵氏の専門家チームは
毎日数十万リットルの地下水が
福島第一の方に流れていることを突き詰め
その地下水がそこで汚染され、さらに
太平洋へと流れ出ることを懸念した
それで一刻も早く食い止めなければならないと
急ぎました
ゆっくり構えている暇はまったくなかったのです
それを早く食い止めなくては、と
事故発生後から約3ヵ月後に当たる2011年6月14日
馬淵氏は記者会見で彼の計画を発表することにした。
福島第一を取り囲む遮水壁を地下に建設するという計画だ。
しかし東電はそれに反対した。
東電が記者会見予定の前日に作った極秘書類をZDFが入手したが
このようなことが書いてあった。
「わが社ではちょうど
有価証券報告書の監査期間中であり
遮水壁を建設するということになれば
その建設費用の記載も求めることになる」
「しかしそうなれば
市場は激しい反応を見せることになるだろう。
わが社が債務超過に一歩近づくと
思われてしまう。
それだけはぜひ回避したい。」
その影ではかなり厳しいやり取りが行われた。
計画された記者会見は行われず
今でも福島第一原発の周辺に遮水壁はない。
要するに東電は、遮水壁の費用を
一切出したくなかったのです
私は彼らにとって都合の悪いことを言っていた私を
退任に追い込んだのです
馬淵さえいなければ、と彼らは思ったのでしょう
馬淵がいなければ馬淵チームもなくなる、と
私だけでなく、チームが全員いなくなりますから。
その影では、強力でつかみどころのない
産業、銀行、政治家、官僚、科学者
そしてマスコミによる日本の原子力ロビーが
ありとあらゆる方法で糸を引いていた。
事故発生後、いわゆる原子力村とすぐに対立した
当時の首相も、辞任に追い込まれた。
管元首相もさんざん誹謗、中傷を受けたが
後日、これらの非難はすべて
当てはまらないことが判明した。
事故発生から3年後、その彼が
激しく非難を展開している。
(テロップ)管直人 2010年~2011年総理大臣
背景にあったのは、いわゆる原子力村が
私をできるだけ早く首相のポストから
おろせということでした。
これはまったくの陰謀でした
私は、そう受け止めています
そして原子力村は
あらたな看板役を見つけた。
現在の総理大臣安倍晋三である。
安倍首相は2020年のオリンピック開催権
獲得に向けて世界に対してこう宣言した
(テロップ)日本総理大臣 安倍晋三
フクシマについてお案じの向きには
私から保証をいたします
状況は統御されています
現在の政府は再び「原子力村」の人物を
諮問委員会に送り込んでいます
これらの人物は、原発の新設を推進したい人物です
巻き返しがすでに始まっているのです
私たちはあるホテルで
放射能物質除染の専門家に話を聞いた
彼はある大きな研究所の責任者だ
そのホテル、町、大学の名前
彼の研究内容も
彼の素性が推理できる手がかりとなるもの
いっさい伏せてほしいと言われた
それには、理由がある。
去年の10月始めまでは、かなり自由に
意見を述べても平気だったのですが
それから公的機関から指示が出され
テレビに出演してはいけない
マスコミと一切接触してはならないと言われました
オリンピックの開催地として候補するにあたり
安倍首相は、フクシマの状況は
コントロールされている、といいましたが
その後指示が来て、研究結果をもう絶対に
マスコミには公表するな、というのです
その研究結果というのはいったい
どのようなものなのか、訊ねた。
基本的には、福島第一原発の事故後の状況に関する
一切のデータです
私たちは現場サンプルを採集し
汚染を検査しています
実際には、なにもコントロールなど
できていないのです
その指示に従わなければ
研究プロジェクトの予算がカットされ
彼の元で働く研究員たちが
失業することになる。
不安、恐怖を育む土壌。
そして、日本のマスコミはこのテーマには
怖がって触れようとしない、と
彼は別れ際に語ってくれた
私たちは京都大学の水文水資源学会の
山敷庸亮氏の研究調査を取材した
山敷氏たちは、河川や海の放射線汚染が
どのように広がっているか調査している
東電や政府はかねてから、水での汚染は
原発周辺の地域に限定されていると主張してきた
山敷氏率いるチームは、事故のあった福島第一原発から
80キロ離れたこの仙台湾で
土と海水を採取した
原発からこれほど離れた場所で調査をするのは
これが初めてのことではない。
そしてその結果は衝撃的だった。
始め私たちは、放射能汚染は
フォールアウトした場所と
原発の水漏れのあるところに
限られているのだと思っていたのですが
実は阿武隈川流域一体で汚染が進んでいることが
調査で判明しました
私たちの計算では阿武隈川を通じて
1年に約10兆ベクレルの放射性セシウムが
太平洋に放出されています
この量は原発事故直後に
海に流出した量とほぼ同じです
山敷氏の調査結果は、阿武隈川が
事故のあった原発から遠く離れているだけでなく
直接なんの接触もないはずだけに
かなり衝撃的だ。
それなのに河床は高濃度の放射性セシウムによる
汚染があることをはっきり示している。
理由は、雪解け水と雨により
フォールアウトした地域から放射性物質が
洗い流されることによる。
それが小川や支流を通じて
阿武隈川に流れ込み
最終的に海へと運ばれていくのである。
しかしそれはまた、これから何十年にわたり
放射性セシウムが食物連鎖に
入り込んでいくことを意味している
誰も気にも留めない、原発事故現場から
遠く離れたこの汚染源を通じて。
ここ2、3年はもう、誰もこのテーマに
関心を示そうとしません
(テロップ)京都大学 山敷庸亮
政府も地方行政も市街の除染をやることが
一番の関心事で
海への流出に関しては注意を払いません
これらの事実はすっかり無視されています
日本政府は事故のあった原発周辺一体での
魚の捕獲を禁止している。
しかし80キロ北上したここでは
許されている。
京都大学、その1週間後のことだ。
山敷博士は私たちに河口デルタ地域の
泥土サンプルの分析結果を見せてくれた。
海流と地形によって放射性セシウムによる
海の汚染の影響は異なるが
何箇所かで値が非常に高くなっている。
それで、状況はコントロールされているのでしょうか?
いいえ! 難しいですね
分析結果はさておき
これは基準値の問題なのです
日本政府は新しい基準値を設定しました
これによれば1キロ当たり8000ベクレル以上が
危険ということになっています
これには驚いたんですが、それは
事故前の基準値は1キロ当たり
100ベクレルだったからです
それで、私たちが分析した値をもう一度
よく見てみてください
どれも8000ベクレル以下です
それで誰もが大丈夫と思って
忘れ始めているのです
しかし私自身は、この汚染は実は
非常に高いと思っています
このことに世間はもっと注目すべきです
けれども誰もこの結果に関心を寄せないので
政府もなにもしないのです
このような子供だましのトリックで政府は
問題を解決しようとしているのだ。
基準値をあげれば問題は消え
誰も心配する必要がなくなる、というわけだ。
去るもの日々に疎し、ということか。
私たちは浪江町で牛の飼育をする
吉沢正巳さんの農場に戻った。
今ではここは牛のホスピスとなってしまった。
ここで育てられた牛はかつては
よく売れ、繁盛した。
しかし2011年3月で原発が爆発して以来
それは過去のものとなり、牛は売れなくなった。
吉沢氏に、その理由を見せてもらった。
牛たちはここにあるこういう草を
食べていますからね
放射能に汚染された草を
一年中食べているんです
放射能が体内に取り込まれているから
白い斑点ができたんだと思います
牛たちは外部と内部被爆に
さらされているわけですから
この犬だって被爆しているわけですよね
吉沢氏には動物たちを見捨てることはできない
自分は外からの食料で賄っているが
牛たちには支持者たちから寄せられる
寄付金だけでは足りない。
放射能で汚染された食物が
どのような影響を与えるのか、
牛を検査して調べることができるはずだ
こういう模様ね。こういう白い斑点が出ています
こういうのは前にはなかったんですか?
初めてですね
もう40年も牛を飼ってきましたが
こういうのは初めてです
理由は何だと思いますか?
獣医も、これは皮膚病ではないといっています
これは皮膚の病気ではなくて、ほらここ
肌が真っ白になっているんです
どうしてそうなったかといえば、それは...
もう長いこと牛の世話をしてきましたけど
こういうことは初めてのことでね
放射能の影響ということを
考えないわけにはいきません
でないと、理由は多分みつからないでしょう
その周辺の村などでも農家で
同じような原因不明の現象が動物に現れている。
行政からは検査が命じられ
そのあとで緊急な勧告が降りた
政府も何もしなかったわけではありません
2回ほど科学者が派遣されてきて
あらゆることを調べていったんですが
それから政府は私に
牛を全部殺すようにと言ってきました
これ以上生かしておいては困るから
私に殺せと
だけど私にはそれはできません
どうして政府が牛を生かしておきたくないか
その理由は、記録を残しておきたくないんだと
私は思っていますね
だから牛を殺せ、ここを片付けろ、と
言うのです
しかし被爆するのは動物だけではない。
双葉町に戻った。
ほぼ1万人の住民がここには住んでいた。
そのほとんどが原発に従事していた。
今ではここは原発事故による立ち入り禁止地区だ。
原子炉建屋が爆発したとき
たくさんの人が高線量の被爆をした。
井戸川元町長も同じである。
私たちはちょうど避難する最中でした
病院の患者と看護婦たちがちょうど
車に乗ったときです
そのときバーンという大音響がして
それが1番目の爆発でした
すぐに空からたくさん埃が降ってきました
あのときの線量は非常に高かったと思うんですが
もうすぐに死ぬと思いましたね
皆、そう思ったんです
事故発生後初めて、井戸川夫妻は
自分たちの家に戻った。
彼らは除草剤を持参した。
ここにはもう住めない、ということが
彼らにはまだ納得できないのである。
ついこの間まではこの東京近郊の学校の建物が
彼らの避難場所だった。
ここに約千人の被害者と共に寝起きを共にした。
井戸川氏は爆発後、放射性の埃を吸い込んで以来
のどの痛みを訴え、繰り返し鼻血を出し
胃や目が痛み、そして疲労感に苦しんでいる。
爆発直後、始めは行わないですまそうとした官庁に
被爆量の測定をするよう、彼は迫った。
結果は数十万ベクレルのヨウ素131と
セシウム137だった。
しかし測定は測定だけに終わった。
それが何を意味するかについては、なにも知らされない。
福島大学病院では、放射線で健康被害を受けた人は
誰もいない、と言うんですね。
しかし私たちは事故が起きたときすぐそばにいて
放射能を直接浴びたわけですが
医学的な検査をなにも受けていないのです
今だになんの検査もされていないのですよ
私は真実を知りたいのです
そしてそれに従った手当てを受けたいのです
これは2011年に福島で行われた説明会で
撮影されたビデオだが
これを見ると日本が公に
健康の危険に関する評価として
どのような立場をとっているかが明らかになる。
山下教授は政府に任命された
福島の放射線健康リスク管理アドバイザーだ。
放射能の影響はニコニコ笑っている人には
来ません
くよくよしている人に来ます
これは明確な動物実験で解っています
日本政府は非人道的です
それを私は確信しました
まったく情ないことです
国民がことごとく馬鹿にされているのです
いろいろな感情がこみ上げてきますが
一番強いのは、激しい怒りです
大人と違い、子供を持つ親の要請で
子供たちには医学的な検査が行われている。
すでに地域の子供、若者たちの30万人以上が
甲状腺のスクリーニング検査を受けた。
笑っている人には放射線の被害は来ないと言った
福島県の放射線リスクアドバイザーの山下教授も出席し
検査結果が規則的に間をおきながら発表される。
結果は衝撃的だ。
いくつかのカテゴリーに分類されているが
検査を受けた子供たちの約50%に
甲状腺異常が検出されている。
小さい結節やのう胞からガンまで
さまざまなケースがある。
親には、自分の子供がどのカテゴリーに分類されたかを
知らせる手紙が届く。
根本氏のところにも、それが届いた。
しかしそれには問題点がある。
これだけでは、なにもわからないのです
8ミリから20ミリの結節と書いてあって
一番下のカテゴリーだというのですが
数字しか書いてなくて
でも私はそれがどういう意味なのかわからない
それでどのような状況にあるのかを
説明してほしいのです
でも、検査結果は渡してくれないのです
それでわざわざ申込書を
提出しなければなりませんでした
数ヵ月後にやっと、コピー代を払って
ようやく根本氏は、超音波写真を含む
検査結果を受け取った。
この結果だけを見てもなにもわからないので
彼女は病院に行き
彼女の息子はそこで2度目の検査を受けることになった。
しかしそれは放射線リスクアドバイザー山下教授が
出した規則に反している。
私は病院から、検査をこの病院でしたということは
黙っていてほしいと頼まれました
ですから、検査をしてもらった病院と
医者の名前は言うことができません
というのは、一番下のカテゴリーに分別された
症状を持つ子供たちは
2年後まで次の検診が病院で
受けられないことになっているからである。
それが山下教授による指示だ。
どうしてそのようなことをするのか
私にはわかりません
政府や県のやり方に対する不信感は
それで募る一方です
自分たちが何を本当にしているのか、
知られるのがいやなんだと思いますね
しかし、2回目の検査をして
根本氏は少し安心した。
結節が小さくなっていたからである。
しかし心配はなくなってはいない。
放射能による汚染はまだ続いているからである。
薪ストーブに使っていた木なんですが
燃やしたあとの灰を測ってみたら
1万5千ベクレルだったのです
それで薪はもう使えなくなりました
それでそれ以来ずっとここに置いてあるんですが
これをどうしていいかわからないんです
高濃度放射能のゴミが自宅の庭に。
困って、彼女は町の役所に聞いてみた。
役所に電話をして聞いてみたんですが
環境省に聞いてみろ、というんです
それで環境省に聞くと
今度は市役所に聞けという
もうどうしていいかわからない、
そういう状況です
そして彼女が連れて行ってくれたのは
町にある公園広場の1つだ。
ここは特別な場所である。
原発事故発生後日本では
あらゆることがもう普通ではなくなったことが
ここにいるとはっきりする。
ここは子供たちがたくさん遊びに来る場所です
2011年の事故発生後に除染が始まったとき
放射能のゴミがこの公園に埋められたんです
大きな機械を運んできて
穴を掘り、そこに除染工事でできた
放射能のゴミを袋に詰めたものを
何個も寝かせ、また上から土をかけたのです
最初は彼女も、なにをそこに埋めたのか
知らなかったという。
しかし、それがとうとうわかったとき
根本氏は、このような場所が
町のどこにどのくらいあるのか訊ねた。
「風評被害があるといけない」また
廃棄物の不法投棄が増えるといけない
という理由で教えてくれませんでした
市がどこに埋められているか
知っていれば十分で
市民は知る必要がない、と言われました
放射能のごみを公園に埋め
それは誰も知らない方がよい。
子供たちの遊び場には、一応
立ち入り禁止のロープが張られている。
芝生養生中のためという理由で
立ち入り禁止の立て札が立っている。
ドイツの諺にあるように
草が多い茂れば
すべて忘却の彼方、ということか。
仙台駅。
私たちはここで福島の除染作業員を
集めていると聞き、やってきた。
3晩かかってやっと接触に成功した。
取材に応じてくれるよう彼らを説得するのは
とても難しい。
危険だからだ。
もちろん危険です
彼らの商売に影響を与えるから
これは何十億という金のかかった利権である。
ある地方一体を除染する作業だ。
福島県の大部分は、高線量のフォールアウトのため
住むことができない。
政府はそれを変え、
住民に帰還させたいと思っている。
しかしそのためには数百万立方メートルという
汚染された土を剥ぎ取らなければならない。
福島県のいたるところで
土が掘られ、パワーショベルが動いている。
この危険な作業に携わる労働力が
たくさん必要だ。
そしてここで活躍するのがやくざである。
商売はどのように行われるんですか?
やくざ自身は、現場での作業には
関わりません
彼らの手先である組織が人集めをして
作業員を福島に派遣するだけです
どうやって、どういう人を集めるんですか?
借金のある人、または失業者などですね
仙台の駅周辺で彼らは
仕事の口があるよと声をかけるのです
ただ実際に金を受け取ってみると
約束した額よりかなり少ないのです
で、どれくらい受け取るものなんですか?
日取りで5千円から9千円といったところですが
そこから1割から2割がやくざにピンはねされます
やくざがことに好んで雇うのは
ホームレスだ。
それには理由があると、今井誠二牧師は語る。
今井牧師は何年も前から仙台の
ホームレス支援組織で働いている。
原発事故発生後、ホームレスの数は
著しく増加したという。
何十万人という人が地震、津波、原発事故で
一切合財を失ったからだ。
ホームレスには職も、住所も、住民票もないので
それで普通の仕事の口はありません
しかし原子力業界では仕事がもらえるのです
例えば除染作業や原子炉の収束作業などです
どれもとても危険で
誰もやりたがらないからです
それで、弱い者がこうして雇われていくのです
やくざに雇われ、彼らが行き着くのは
危険な場所にある下請け会社である。
住む場所も家族もなく、また
福島にいたということがわかると
ほかの仕事にありつけなくなるという
不安があることが
原発産業にとって皮肉にも
好都合な効果を招いていると
今井牧師は語る。
実際に病気になっても証拠がありません
彼らは「いや、福島に
いたことはない」と言いますから
彼らは嘘をつかざるを得ないのです
そしてもしガンになることがあっても
彼らがそこいにたという証拠はありません
まったくひどいことです
大事なのは金のことばかりで
人間のことはどうでもいいのです
いつも金の話しばかりです
私たちに情報を提供してくれた人も
やくざの手先として働いていたが
足を洗った。もう福島で
働きたくないと思ったからだ。
しかし沈黙を破るのは非常に危険だ、と彼は言う。
顔や姿を見せるのはとても危険です
どんなことが起きるのでしょうか?
恐ろしいことをするだろうね
殺しはしないまでも、思い知れという
かなりの戒めが待っているだろう
きっと拉致されて、暴行されるだろう
危険な仕事を引き受けるホームレスは
いつか死んでも、死を悼んでくれる人もいない。
原子力ムラに対立した総理大臣や大臣は
辞任に追い込まれ
科学者たちに圧力がかかり
事故の真実を隠蔽する - いったいどうしてなのか?
私たちは答えを求めて
福島県の隣にある新潟県を訪れた。
ここには世界最大の原発がある。
日本が自慢とするこの原発設備が建つのは
新潟市の中心街から目と鼻の先だ。
福島の原発事故以来、運転が停止されている。
東電と政府はこの原発を再稼動したいと思っている。
原子力発電をまた復活させるには
この原発が中心的な役割を果たしているからだ。
私たちは新潟県知事に取材した。
この知事は、今までは政府与党である自民党に
支持を受けていたが
それは取り消されることになるかもしれない。
それは、この知事が再稼動を拒否しているからだ。
(テロップ)新潟県知事 泉田裕彦
現在の「東電再建計画」では、事故があった場合に
銀行も株主も責任を取らなくて
いいことになっています
そう計画書で設定されているのです
もし事故が起きれば、そのしわ寄せは
また、みんな国民に来るのです
しかし銀行や投資家がなんの損害も
受けないということであれば
彼らはこれからもリスクを冒していくでしょうし
安全第一の文化が壊されていくでしょう
私はこれを、倫理的なリスク計画と呼んでいるのです
ここでも何百億、何千億という単位の
お金が絡んでいる。
東電の広瀬社長は、泉田知事に
再稼動計画を認めてもらおうと
あらゆる手を尽くしている。
3フクシマの事態はコントロールされている、
あのような事故があっても
「原子力エネルギーは制御可能だ」という
メッセージは変えようとしない。
東電は真実を話してきませんでしたし
これまで一切責任を取らないできました
すべてコントロールされているなどというのは
私にはなんの意味もない言葉です
彼らがたくさんのことで嘘を
ついてきたというだけでなく
たくさんの問題に正面から立ち向かうのを
避けてきたことが問題なのです
原子力ムラが嘘、隠蔽、危険の過小評価を
するのには理由がある、と泉田知事は語る。
日本には安全神話というのがあります
安全神話は、日本の原発は安全で
ほかの国のような事故は決して起きない、
というものでした
今原発の再稼動に関する議論を見ていますと
彼らが新しい安全神話をつくろうと
しているという印象を受けますね
新しい安全神話?
私たちは福島に戻った。
島の反対側だ。
日本政府と原子力ロビーが原発事故の事態が
制御できると見せようとしていることは確かだ。
福島第一原発の周りに凍土遮水壁を
作るという計画も、それに属している。
これで常時原子炉建屋に流れ込み
放射能でたちまち汚染されていく
地下水を食い止めようというのである。
新川達也氏は政府の原発事故収束対応室長だ。
遮水壁がいつ完成するのか、彼に話を聞いた。
(テロップ)事故収束対応室長 新川達也(経済産業省)
現在、可能性を探る調査を行っているところです
今年度終了までにプロジェクトの工事を
終えたいと希望しています
日本の会計年度は3月に終わりますので
つまり2015年の3月を目指しています
それから土が実際に凍るまで
2ヶ月ほどかかります
遮水壁を作るという初めの計画があがってから
数年が過ぎた。
この数年の間に毎日、何百トンもの
地下水が放射能に汚染され
そのうち毎日200トン以上の水が
太平洋に流出している。
そしていまだに責任者たちは
可能性調査をしているという。
そもそも、凍土による遮水壁が本当に
目的を果たすかという疑問にはまだ
完全に答えが出ていないのが現状だ。
そのことはこの政府代表者も認めた。
まだいくつかの課題があります
まず、この技術は、これほどの規模で
試されたことがありません
そして地下水の移動速度という
問題があります
私たちは低いと考えていますが
もし速度が高ければ水は凍りません
それから地質の問題があります
原発の周りにどのようなものが
埋まっているか
土がその条件で凍るか、ということです
それでも状況がコントロール下にあると
お思いですか?
はい!
まだ技術の性能が試されたこともなく
福島の現場の条件でそれが機能するかどうか
明らかでなくても、それでもコントロールできている?
かつて事故収束を担当した馬淵澄夫氏が
なぜ東電と政府がこの計画を
決定したのか
その簡単な理由を教えてくれた。
国がお金を出すのは
凍土遮水壁のように
技術的に難解でまだ課題の多い
ものに対してだけなのです
これが日本のやり方なのです
それより、どうやったら確実に
水をせき止められるのか考えなければいけない
難解なプロジェクトを始めることが
目的ではあり得ないはずです
よく性能が実証されている技術を使うべきです
しかし国は、技術的に手間のかかる
初めてのプロジェクトにだけ
お金を支払うことになっています
それで凍土遮水壁が作られるのです
つまり、投資家や株主は責任を問われず
したがって賠償をする必要がなく
まだ実証されていない技術に頼って
日本と世界を大災害から守ろうということだ
そして日本の一般大衆は
これらのことをほとんど気にもとめない。
マスコミでは、福島第一原発から
今でも発生している危険や
事故の影響についてほとんど報道しない。
それで、忘れられたと感じている人たち
牛飼いの吉沢さんのような人たちに
世論を喚起する役を任せるよりないようだ。
彼は月に一度ここ、東京の渋谷を訪れる。
東京の住民の皆さん
話を聞いてください
あなた方が使っている電気は
毎晩こうして明るく照らしてくれる東京の電気は
40年来、福島から来ているんです
今は福島の火力発電所から来ています
だけど、人間として
どうか考えてみてほしいのです
浪江町や富岡町、大熊町、
小高町、飯館村の人たちは
もう二度と故郷に帰ることができない
米づくりなど二度とできやしないよ
再稼動と今言っている人たちは
ここを見たことがないんです
ことに安倍首相は何も
見ていません
本当にがっかりします
事故を起こした原発を所有する東電に
状況をどう判断しているか
訊いてみようと思った。
状況が本当にコントロール下にあると
思っているのか
嘘をついているといわれて
どう反論するのか。
私たちが質問表を用意すると
応じてもいいといわれていたインタビューを
断られた。
(テロップ)
ヨハネス・ハーノ記者報告
製作・ZDF
字幕翻訳・無限遠点
)
熱心にメモを取り情報交換する姿は
おしどりマコさん 日本の反原発運動家だ
夫のケンさんとドイツを旅して回っている
超過密スケジュールだ
会議や学校訪問 イベント参加
日本では何よりも表現の自由のために闘う
「私たちはコメディアンですが
事故後 “原発”“被ばく”
と口にすることを禁止されました」
「師匠には 芸人は国ではなく
お客さんのために話せと言われました」
「戦争中の芸人は
国と戦争のプロパガンダを
舞台で行なったそうです」
「原発事故後の日本は
それと一緒だと思いました」
マコさんは 福島で現実に起こっていること
事故から三年後の被害の実態を伝えたいと考えた
しかし日本では難しい…
そこでドイツを訪れた
今日はネカーヴェストハイム原発でデモに参加する
「家族は遠い所に住んでいるので
大丈夫ですが
福島の友達たちには
健康被害は出ています」
「友達の二人の子供達は
甲状腺に異常があり
母親は 白血病に似た
病気にかかっています」
「四人家族中 三人が病気です」
デモではようやく
政治コメディーを披露できた
夫婦は 原発の恐ろしさを
舞台を通して人々に伝える
デモ参加者達は 大感激だ
「心打たれました」
「人々を動かす素敵な力があります」
「日本式の取り組みを見ることができ
われわれも学べました」
「日本から来てくださって嬉しいです」
「希望的な気がしました」
マコさんは 人々を 揺すり起こそうとする
「選挙以外にも 私達は
毎日 一票を持っています」
「何を買うのか どこに行くのか
どう時間を使うのか…
どれも政治や社会を
変えることができる一票なのです」
彼女が話すことはすべて 自ら取材で確認したことだ
東電の記者会見に必ず出席し 原発作業員とも知り合った
専門家に取材し 汚染地域の住民を訪ねた
日本政府には それが気に入らないのだ
ジャーナリストとして彼女は 報道の自由のために闘う
日本の国会は昨年
特定秘密保護法を可決した
汚染値や犠牲者の情報は ますます出てこなくなった
民主主義と自由に反すると
マコさんら何人かのジャーナリストは訴える
マコさんは自分が公安に 尾行されていることを知った
「なんで尾行するんでしょうね」
「税金の無駄遣いです」
「怖いことは沢山ありますが
私みたいに 小さな たいして影響力もない人間に
圧力を掛けるのが 恐ろしいことだと思います」
それでも取材の成果を 発表し続ける
今も汚染水が海に流れていること
人々は汚染食品を 食べ続けていること
人間と自然への本当の被害を まだ誰も予想できない
ネカーヴェストハイムの人々も
だからこそ 行動する
福島事故記念日を迎えて すべての原発停止を求める
おしどりマコさんは 次のアポイントに向う
マスコミや情報を 批判の目で見るよう
人々に呼びかけながら
バスの中でも休みはない
情報交換し メモを取り
活動家達と議論に花が咲く
マコさんのドイツの旅は
しばらく続く
スイスの決意 それは20年後に 原発をゼロにすること
日本で福島原発が大事故を起こした直後の決定である
“福島原発では今日も新たに2回の爆発が同時に起こりました“
津波の後 福島原発が、連続爆発してからというもの、スイス人は放射能に対してひときわ敏感になった
「“日本の汚染魚にノー!”韓国は福島産のすべての海産物を輸入禁止しました」
バーゼルの研究所が昨年10月に発見をした
スイスのスーパーで売られていた魚が、放射能汚染をしていたのだ
太平洋産のマグロからセシウム134と137が検出された
福島原発事故由来の汚染である証拠だという
「ご覧のようにセシウム134と137の両方を含有してました」
「どれくらいの量?」
「0.1から0.5ベクレル/ Kgです」
所長によれば 基準値以下のため、健康には危険はないということだ
われわれのために別のサンプルも分析してくれる
「この魚は何ですか?」
「タラです」
「太平洋産タラ…バーゼル市内の店で買いました」
「セシウム検査をするために…」
(マルクス・ツェーリンガー バーゼル研究所放射能研究チームリーダー)
「二つのセシウムが同時に検出されたら、福島が汚染の原因だと言えます」
分析の結果 タラも福島の放射能に汚染されていた
行政の基準によれば、危険はない量とのことだが…
しかし国境の向こうのフランスには、別の意見の専門家もいる
(クリラッド測定所)
ブルーノ・シャレロン 核物理学エンジニア
“放射能が無害”などという発言は、非常識だと彼は言う
「被ばくには“しきい値”というものは、存在しないのです」
「体が最少量のベクレルでも、ガンマ線やベータ線を外部や内部から受ければ
後年それがガンになっていくキッカケになりえます」
だから 被ばくとは、闘わなければいけない
終わりのない戦争だ
それが地球の裏側では、3年前から猛威をふるっている
日本…
その日 マグネチュード9の大地震が日本の沿岸部を襲った
数十分後 巨大な水の壁が、太平洋岸一帯を飲み込む
犠牲者は2万人を超えた
5千人が行方不明だ
津波は 福島第一原発も壊滅させた
これが運命の瞬間である
巨大な波が施設を襲う
冷却用タービンは 水没して壊れ
原子炉はメルトダウンを始めた
次々に爆発が起こった
世界はチェルノブイリ以来、史上最悪の原発事故を目の当たりにした
:原発から放射能雲が発生し、国土の大きな面積を覆った
政府は3万人の住民避難を決定
原発周辺に最初は20km
やがて30kmの閉鎖区域を設けた
3年が過ぎた… 福島周辺では、今でも津波の爪痕が生々しい
見渡すかぎりの瓦礫の山
家や家具の残骸
壊れた車 トラック
この地方全体が、巨大な除染作業の現場と化した
放射能雲はいたる所を通過した
たくさんの作業隊が表土を5cm掻き取り
巨大な黒い袋に詰めている
別の作業員がそれを積み上げる
処分法がないからだ
日本政府によれば“現場はコントロールされている”
しかし現地の住民は安心できず
自分たちで何とかする決意をした
例えば原発から20km の南相馬市
事故の翌日に避難を命じられた町だが
2012年4月 閉鎖区域から外された
住民は放射能という“毒”を自ら計測することにした
事故後 独立した団体が数多く結成された
「仮置き場が見えますよ」
「放射性物質が貯蔵されてる所です」
「積み上げられて ゴミの山になります」
こうした団体の代表者は、ガイガーカウンター持参で住民のSOSに駆けつける
丘のふもとの立派な家に呼ばれた
家は市の除染を受けたばかりだ
しかし家主は安心できずにいる
「全部 測りましょうね」
日本政府の定めた許容基準値は、毎時0.23マイクロシーベルト
つまり年間1ミリシーベルト
国際的な基準によれば、それ以上の被ばくは危険である
「素敵なお宅ですね」
「放射能がなければ、もっと素敵ですよね」
家主は名のある陶芸職人だ
調査を始めると、たちまち測定器が鳴る
基準値の20倍…
「ここの除染は完了しています」
「放射性物質はすべて除去したと、行政は主張してますが
このコンクリートの上など5マイクロシーベルトあります」
「普通は年間1ミリシーベルト以上放射能を受けてはいけません」
「ここの年間の被ばく量は4.3ミリシーベルトです」
「チェルノブイリなら避難地域に指定される量です」
「居住禁止のはずです」
「ここは誰も住んではいけない場所なのです」
彼は、妻と3人の子供を300km遠い場所に移住させた
しかし自分は残るつもりだ
大山弘一さんは 原発事故以来、ここに一人で住んでいる
「15年前にここに来て、チェーンソーで土地を切り開きました」
「この家は自分で建てました」
「庭も家も全部、自分で設計しました」
大山さんの家計は、惨憺たるものだそうだ
補償はなく、顧客もないので、収入はゼロ
しかし税金は今でも毎年取られる
テラスの線量は強烈だ
基準値の40倍を超える
「素敵な家ですから、売りに出してはいかがですか?」
「誰も買いたがりませんよ」
「どうして?」
「だって、放射能汚染してますもの」
「放射線管理区域内です」
「ここの家を買う人なんていません」
南相馬はどこも、放射能だらけだ
政府は、地域の学校すべてに、モニタリングポストを設けた
保護者を安心させるために、リアルタイムの線量が示される
0.13マイクロシーベルト/時
基準値よりずっと低い
しかし数メートル離れた道端の数値は、0.8マイクロシーベルトまで上がる
学校前の公式数値の五倍だ
「学校は除染されましたから」
(吉田邦博 市民放射線測定所(CRMS)代表)
「当然 数値も低くなっています」
「でも10メートル離れただけで、数値は変わります」
「4倍から5倍に上がります」
「10倍に上がる所もあります」
「私に言わせれば モニタリングポストは、何の役にも立ちません」
「税金の無駄遣いです」
「これは自然放射線なんですか?」
「もちろん違います」
「自然放射線だったら、0.05マイクロシーベルトくらいです」
地域のすべての学校が、行政によって除染された
いわき市 福島原発の南40km
この日、小学校では、みんな熱狂していた
地元野球チームの人気選手を迎えたのだ
そしてグラウンドの片隅では、気ぜわしい様子のお母さん3人…
彼女たちも公式数値をチェックするグループを結成したのだ
1メートルごとに、グラウンドを測定する
「そこの場所が、学校では一番高いです」
(千葉ゆみ 主婦)
「0.18マイクロシーベルト以上です」
「グラウンドにしては高いですね」
「健康にはまったく害がないと、保証されている数値です」
「でも原発事故前と比べると、3倍から4倍 高いですね」
グラウンドの次は校庭だ
子供の健康を心配して、お母さんたちは、天任せにはしない
「このタブレット GPS機能が付いていて 直接線量を記録するんです」
学校責任者は万事順調だと主張するが、動揺を隠し切れない瞬間もある…
「学校の除染は済んでますか?」
「はい、人が来て学校の裏の木やあそこの木を切りました」
「でも、正式の除染はされてません」
「子供が遊んでも安全なのですか?」
「私、個人としての意見ですか?」
「それならノーコメントです」
教頭の後ろには、モニタリングポストが2台も立っている
1台目の数値は0.09マイクロシーベルト
2台めはずっと高い数値を示している
毎時0.14マイクロシーベルトだ
「長い話になるのですが、私の聞いたところでは
1台はある会社で作られたのですが、性能を満たしていないということで
文部科省が契約を解除したそうです」
「その後、新しい機械が設置されました」
「裁判になってると思います」
「同じ数値が出ますか?」
「こっちの方が良くないようです」
「性能が満たされていないそうです」
妙な話だ
われわれは取材旅行中ずっと、隣り合わせのモニタリングポストに出会った
政府が設置したモニタリングポストは、隣りの計器より低い線量のことが多い
この差はどこから来るのか?
東京に戻る
この倉庫は、契約解除された計器のメーカーのものだ
彼が社長の豊田氏
「これが文部科省が発注したものです」
(株式会社アルファ通信社長 豊田勝則)
「省は600台 このリアルタイムの計測システムを注文し、福島県に設置しました」
ところが使用が始まった数週間後
省は計測値を補正するように要請した
“計器の表示する値は高すぎる”という理由である
省の通知は厳しい口調だった
「省から届いた通知です」
二〇一一年十月二十六日付け
「ここに“表示値が高すぎる”とあります」
「彼らは、6基のモニタリングポストを、現場で検査し
省のガイガーカウンターに比べて、私どもの計器の値は、はるかに高いと」
「従って、表示値の補正が必須であると」
「即座に調整を行なうように要請されました」
しかし豊田氏の計測器は、国際基準に従ってアメリカで製造されていた
そしてアメリカの製造者は、補正を拒否した
「アメリカ側とコンタクトを取り、数値を下げてくれと頼みました」
「“機器は国際基準に則している”という返答でした」
「“なぜ日本の基準に合わせる必要があるのかわからない“と
補正を拒否されました」
放射線量というのは不確定であるため
20%程度の振れ幅が適用される
しかしほとんどの国が慎重をきして、最高値を採用している
日本の官庁は、われわれの問い合わせに応じなかった
豊田氏との裁判を控えているためという口実である
国民の不安をあおるのを恐れて、危険を最小限に見せる
事故当初から 国のこの態度に、日本人は苛立っている
安全発言を告発するために、隠しカメラの使用を辞さないジャーナリストもいる
日本では普通ほとんど使われない
そのため、このジャーナリストの顔を公開することはできない
“桐島 瞬”は彼の筆名だ
この3年間、原発内部を撮影するため定期的に作業員として働いている
この日は、東京のある労働組合で、目撃したことを報告した
集まっているのは原発労働者
クビになる恐れがあるので、顔は公開できない
「海を見るとすごく綺麗だけど、原発内部は、メチャメチャです」
「これは?」
「一号機のタービンです」
「汚染水用のホース 破れたものです」
原発内の仕事は、キツくて危険だ
5千人の作業員はみんな志願者だ
桐島 瞬は写真をとることは、自分の義務だと考えている
「危険は承知です」
「48歳 もう若くないですから、構わないです」
「本当のことが知りたかったんです」
「何が一番大切か、考えました」
「危険を冒すほかない」
「原発内で起こっていることを、本当に知るために…」
彼は、私が福島原発に接近する手助けをしてくれることになった
2012年以来 閉鎖地域は、原発周囲の円状ではなく
放射能の広がりにほぼ沿っている
許可なしで入ることは、不可能だ
報道陣に許可の出ることは稀で、非常に規制されている
しかし彼は通行許可を持っているのだ
私は彼の車のトランクに隠れて、 閉鎖区域に入ることになった
「チェックポイントです しばらくジッとしていて!」
「こんにちは!」
「申告することはありませんね?」
「はーい どうぞ!」
数キロ先 人目のない場所で
トランクから出る
だが顔を隠すようにアドバイスされた
「こうやって、日本人っぽくして、外国人だとわからないようにしました」
「日本人っぽく見える?」
「ああ これなら目立たない」
原発に向うと、ガイガーカウンターが鳴り始める
許容基準値0.23μを超えている明らかな証拠だ
「10.4」
「危険?」
「ああ 高すぎる」
「10.4? 高すぎる 危険だ」
「ほら ここを左折すると 1キロ半で原発だ」
双葉小学校の駐車場に案内してもらう
政府のモニタリングポストには、標準の50倍の線量
桐島 瞬は激怒する
「バッテリーを地面に置いてある!」
「ガンマ線はブロックされてしまいます」
「計器は、バッテリーと鋼鉄板の上に設置されてます」
「ガンマ線は、センサーに届きません」
「公式の線量は少なくなります」
その証拠に二メートル離れた草の中では、21マイクロシーベルト/ 時
公式線量の2倍に近い
校舎の裏では測定器は狂ったようになる
「ほぼ40マイクロシーベルト」
「地面に置くと、単位が変わります」
「ミリシーベルトになりました」
「0.32ミリシーベルト つまり 320マイクロシーベルトですね」
安全基準の1300倍を超える
日本政府は、双葉町が何十年も住めないと宣言した
「10年 50年は 帰れません」
「ここに住んだら 許容基準の50倍の線量を浴びることになります」
「年間50ミリシーベルト以上… 不可能です」
「あまり長居しない方がいい… 行きましょう」
「ここによく来るのですか?こんな危ないのに…」
「私は福島原発で長く働いたので、もういいんです」
「でも あなたみたいな普通の人は こういう場所に長居しない方がいい」
閉鎖地域の線量は、 基準値をはるかに超える
原発の周りの村では、2011年3月の震災の爪痕もそのままに時間は止まってしまった
しかし日本政府はいつか 住民を帰還させる希望を失わない
そもそも家を捨てることを拒否した人も多い
この農夫は原発から14kmの場所に住んでいる
「私はレジスタントです」
「神風」
「牛のテロリストです」
吉沢正巳さんは、300頭の牛と一緒に暮らしている
みんな被ばくをしている
「茶色い牛は日本特有で、黒いのとは全然違うんです」
「出荷できませんし、食べることもできません」
「譲渡も 売買も、よそに持ち出すことも、政府に禁じられています」
東電からは2千万円の賠償金を受け取った
「7.9マイクロシーベルト…」
「7.6マイクロ この辺りは高いです」
吉沢さんは 危険にもかかわらず ここに残る決意をした
「人生の最後まで、群れにエサをやる 牛飼いでいたいんです」
「牛を売れなくても、もう関係ないです」
「原発事故があった… 仕方ないんです」
「原発が爆発してしまったんだから…」
「何が起ころうと 最後まで、生き物たちの世話をするんです」
「残りの20年」
しかも、牛たちは病気だ
事故から一年 皮膚に白斑が現われた
「2012年8月から、白斑が出はじめました」
「黒毛牛ですが、首や背中や体のあちこちに、白い斑点が出ています」
「すこし減りましたが、こっちの牛にも出てます」
「被ばくをしているせいだと思います」
「皮膚や色素の変異みたいなものでしょう」
事故以来 200頭以上の牛が死んだ
原因は不明だ
政府は獣医を派遣して調査を行なったが
結果は一度も送られて来ない
「この牛は突然死にました」
「健康に見えたのですが、突然元気がなくなって、原因はわかりません」
「子牛も一緒に死にました」
「原因不明です」
「元気だったのに…」
一頭ずつ死んだ牛のために、慰霊碑を建てている
しかし自分自身の体調については語りたがらない
「DNAの検査を二度ほど受けました」
「大丈夫だと言われました」
「少し心配な部分もあるけれど、 標準の範囲だと言われました」
「若い人ほど心配だそうです」
「私は来年60歳になるので…」
「そんな年だから もう心配ないんです」
それでも われわれに 診断書を貸すことを承知してくれた
検査によれば、彼のDNAは損傷を受けていた
問診をした日本の医師は、手で書き込みをしている:
“やや高めですが心配ありません”
しかし別の医師はこの記述に憤慨した
チェルノブイリ事故後 ウクライナで、長く働いた医師だ
「ある畜産家が検査でDNAの損傷を認められましたが
医師は問題ないと言っています」
「それはお医者さんが言ったんですか?」
「とっても危ないですね」
(河田昌東 分子生物学者)
「上昇がどういう意味を持つのかは、わからないのです」
「わかるのは、体内で何か大変なことが起こっているということです」
「DNAが損傷すると何が起こるのですか?」
「発癌リスクが非常に高まります」
「しかしチェルノブイリでは癌も増えましたが、他の病気も多く現われました」
「実は、癌はチェルノブイリ事故後に 現われた病気の10%に過ぎません」
「多かったのは心臓病です」
「セシウムは体内に入ると、すい臓と心臓に溜まるからです」
「それから体全体に広まることが、わかってきています」
福島では、こうした健康被害リスクが、011年3月以来、現実にある
原子炉建屋が次々と爆発し、高濃度の放射性プルームが放出されたから
甲状腺癌の蔓延を恐れて、日本政府は大規模な健康調査を実施している
0から18歳の36万人の子供が、 ホールボディーカウンター測定と
甲状腺の超音波検査を受けなければならない
しかし保護者にとって 検査は良識的とは言えない
郡山市 原発から50Km
ここも放射能雲が通過したため ひどい放射能汚染をしている
住民は子供の心配をしている
「見て まだ毛があるよ」
「うん 僕 毛があったの」
野口とき子さんは、二児の母親だ
十三歳のユメちゃんと 九歳のダウン症児 リンタロウ君
リンタロウ君は、原発事故直後に髪の毛を失った
医者によるとストレスが原因だ
「一番危険だったのは、3月15日だったと思います」
「爆発後 何時間のタイムラグがあって
放射能が風に乗ってきたのが、15日だと思います」
「それが15日の雪雲で、郡山市に降り注いだのです」
昨年 ユメちゃんとリンタロウ君も、県民健康管理調査に参加させられた
甲状腺の超音波検査を受けたのだ
「甲状腺検査を受けるためには、保護者はサインと捺印をします」
「結果は子供の名宛で郵送されます」
「“野口リンタロウ様”とあります」
「封筒には“親展”とあるので、彼しか開けられません」
「まだ小学校四年の身障者なのに!」
「それで私たちが開封しました」
「結果は、20ミリ以下ののう胞があると、それだけです
数もサイズも図も無しです」
「最後に“A2判定”だとあります」
「次の検査は二年後だそうです」
「信じられません!のう胞があるのに 二年も待つなんて!」
「ショックもありますが、 怒りの方が大きいかな…」
とき子さんの子供は、二人ともA2判定だった
保護者に渡された書類によれば
検査結果は次のように分類されている
A1判定=甲状腺に異常は見られませんでした
A2判定=のう胞 または結節がありますが 問題はありません
BとC判定は二次検査 または 手術を必要とする
この不十分な情報に 保護者は安心することができない
すでに75人の甲状腺癌と疑いが、発見されているだけに、なおさらだ
通常の発症率の十五倍だ
各地で、真実を探るための協会が動き出した
その一つ 三春村も 放射能雲の影響を受けた地域だ
この日 学校の体育館で、たくさんの家族が順番を待っていた
「ここの黒く見えるシミが、のう胞と呼ばれるものです」
この医師は甲状腺癌のスペシャリストだ
ボランティアで検診を行なっている
「甲状腺の左側に結節があります」
「サイズは 8.2×3.6ミリ…」
福島県の甲状腺検査は、信頼できないと、彼は言う
そして権威機関の主張とは逆に、日本で癌が多発する恐れがあると言う
「15年か20年後には、大変な状況になる可能性があります」
「今の日本では 地上1mの線量が、年20mSv になる場所に人が住んでいます」
(西尾正道 北海道がんセンター院長)
「チェルノブイリの基準ならば、住民を移住させなければいけません」
「年間3mSv以上で移住でしたから」
「しかし日本は年20mSv まで、居住を許しています」
「このままでは大変なことになります」
およそ100家族が、西尾医師の診察を受けに来た
「結果はいかがでしたか?」
「問題ないそうです」
「安心しました」
政府が沈黙する中 こうした協会が、人々にわずかな安心と希望をもたらす
「特別なことをやってるわけではありません」
(鈴木薫 いわき市市民放射能測定室事務局長)
「私たちのまわりは、放射能だらけです」
「いつ次の爆発が起こるか、わかりません」
「私たちはそういう状況に生きてます」
「そんな中で、子供たちを放射能から守るには
…私たちは殺されかかっているようなものなので…
何かしなければなりません」
「とっても受身な姿勢ですが、闘わなければなりません」
日本政府は信用ならないと評価されている
その政府を相手に、闘うすべのない保護者たち
事故後 政府はこのアドバイザーを任命し、すべてが始まった
このビデオはインターネット上でも拡散された
山下医師の発言は、日本中を震撼させた
「放射能の影響は、ニコニコしている人には来ません」
「クヨクヨしていると来ます」
「これは明確な動物実験でわかっています」
山下医師は、われわれの取材依頼に応じなかった
その代わり、後任者に会うことができた
鈴木医師だ
“保護者が不安に思う必要はない”と 彼は言う
「二人に一人の子供は、医療措置を受ける必要がありません」
「のう胞があるのに?」
「はい 問題ありません」
甲状腺癌の数もまったく異常ではない と、鈴木医師は言う
一番危険なのは、不安をあおることだそうだ
「放射線は目に見えません」
(鈴木眞一 福島医科大学付属病院病院長)
「放射線による被害は、すぐには現われません」
「ですから事故当初、みなさんが心配をされたのは普通です」
「しかし、私の個人的意見ですが、放射線よりも放射線への恐怖の方が
日本人に大きな影響をもたらしています」
「放射線を怖がるのが、一番いけません」
「わかりますか?」
だが疑いがあるのか、福島大学は 巨大な放射線影響研究所を建設中だ
2016年に開業予定だ
日本は、暗い時代の到来に備えているわけだ
御不可能なモノの制御を、試みるため日本政府は
原発から60kmの福島市に原子力災害対策本部を設置した
すべての関連省庁がここに集まっている
そして原発を所有する東電もいる
広報班長の木野正登さん
事故当初から、本部を指揮している
彼の任務はまだまだ続くだろう
「もう三年近くここにいます」
(木野正登 原子力災害対策本部(経済産業省))
「今のところ、後どれくらいここに、いなければいけないかわかりません」
「放射能がなくなるまでは 30年 40年かかるでしょう」
「ですから、まだ長い間、ここで働くことになるでしょう」
原発を解体するのに40年
しかし目下、メルトダウンした原子炉を冷却しなければならない
常時 水を掛け続けるのだ
非人間的な仕事だ
漏水ばかりしている
何百人もの作業員が危険にもかかわらず
リレー作業を続ける
汚染をなんとか遮蔽しようと、応急処置をしている
毎日300トンの高濃度汚染水が、太平洋に流れている
「みなさん 環境の心配をされています」
「高濃度汚染水が海に流れていますから」
「当然です、特に漁業の方は心配されています」
「一日も早く、汚染水の問題を解決しなければなりません」
原発から海に漏れる汚染水が、 魚を汚染させている
昨年水揚げされたこのアイナメは、基準値の2500倍の汚染をしていた
漁業は沖合い40kmまで禁止されている
いわき市のトロール船は、外洋まで操業に出なければならない
捕獲が許可されているのは、約四十種類の魚だけだ
その一部は検査に出さなければらない
港では、県の役人が待ち受けている
「魚は研究所に持って行きます」
「放射能の検査をするためです」
この数ヶ月 県の検査結果は、魚を売ったり食べたりするのに
安心な値になってきている
「食べるんですか?」
「もちろん タコ」
「生で?」
「もちろん 食べるよ 汚染ないもの」
(鈴木みつのり 漁師)
「放射能ゼロだもの」
「これも放射能ゼロ」
タコやイカは、放射能に敏感ではなく
漁を許されている数少ない魚種だ
しかし漁師たちは、全面解禁を願っている
「常時モニタリングしていると、基準値超えの魚も見つかります」
「100ベクレル以上ということです」
「でも検査のたびに、値は下がってます」
「政府は、とても慎重なんです」
「だから、何百回も検査して、はじめて漁の許可を出します」
日本政府は、汚染の続く限り、漁業を監視・制限すると宣言している
日本気象研究所も、モニタリングに参加している
青山道夫は、2011年以来政府の委託で、太平洋の放射能の拡散を観察している
そして安心できる見解を表明した
「福島原発から流出した放射能は、まず黒潮に乗ります」
「そして東に進みます」
「ただしそれほど東進しません」
「2011年冬から2012年春にかけて、汚染は東に流れました」
「そこで冷やされて沈みます」
「深く沈んだ後、方向を変えて南に向います」
「そして西に戻ります」
「日本に帰ってくるのです」
「こうして一部は日本に帰ってきます」
「福島から2500~3000キロに、運ばれた放射能は
「水深400mまで沈んでしまっています」
青山教授によれば太平洋の生物には、まったく危険はないということだ
「絶対ですか?」
「太平洋の魚はまったく問題ありません」
(青山道夫 気象庁気象研究所)
「危ないのは、福島原発に接する海域の魚だけです」
「ここで育つ魚の遺伝子は、放射能でほんのすこし傷ついています」
「けれど外洋の魚は、浅い所でも、深海でも、まったく大丈夫です」
「放射能が蓄積していも関係ありません」
「魚は食べて大丈夫なんですね?」
「大丈夫です 私も食べてます」
この青山教授の説は、東京のある科学者を困惑させた
崎山比早子さんは、この日、放射能情報センター(原子力資料情報室?)に招待されていた
放射線科学研究所の所長である崎山さんに
青山氏の説を話してみると…
「魚が高濃度汚染水の中を泳いでも、まったく問題ないそうです」
ほんとに!?」
(崎山比早子 福島原子力発電所事故調査委員会委員)
*崎山氏より海洋学は専門外と断りがありました
「そんなこと聞いたことありません」
「海洋学の青山先生ですよね?」
「魚が出られないように、網は張ってあるけれど
汚染水は自由に流れるから…」
「セシウムは砂や泥について、水の底に沈むけれど
それを食べる魚だっているし、回遊してくるから もちろん影響はあります」
「影響がないなんて、あり得ません」
「(私は専門外なので)何故、彼がそんなことを言ったのか わかりません」
日本政府は大丈夫と言っているが、太平洋汚染の危機は現実ということだ
太平洋の向こう側では、その危機感が広まっている
アメリカ…
サンフランシスコ
毎週ボランティが達が、流れてくる津波の瓦礫を清掃する
環境を守ろうとする彼らにとって、 今回の汚染は大惨劇だ
「海は私たちの命です」
「地球の70%が海です」
「原発事故は、もちろん、海に影響を与えます」
「悲劇です」
「日本からアメリカまで、生態は被害を受けるでしょう」
津波による瓦礫の大部分は、今年の春、アメリカ沿岸に届くはずだ
しかし科学者が一番心配しているのは、生態への影響だ
ニューヨーク州ストーニーブルック大学
この海洋学者は放射能汚染したマグロの切り身を保存している
太平洋産のマグロです
サンディエゴ沖15~150キロの海域で捕獲されました
分析の結果 福島原発由来のセシウム134と137が検出された
「このピークは、福島の放射能でなければ現われません」
(ダニエル・マディガン ストーニーブルック大学生物学研究者)
「セシウム134がとび抜けている以外には、目立ったところはありません」
カリフォルニア沿岸中で、科学者グループは動き出している
ダニエル・ハーシュ教授は、リフォルニア大学で原子力政治学を教えている
福島原発事故は、地球規模の被害をもたらす大惨事だと言う
「放射能に、安全なしきい値のないことは、わかっています」)
(ダニエル・ハーシュ カリフォルニア大学原子力政治学教授)
「海に流された汚染水によって、被ばくの危険は上昇しました」
「どの程度かはわかりませんよ」
「福島原発事故は世界規模の事故でした」
「被害はグローバルに出るでしょう」
「どのようなものかはわかりませんが、人類に現われる健康被害は
膨大でないにしてもゼロということもありません」
太平洋汚染への不安からカリフォルニアでは、人々は警戒を怠らない
ヨーロッパはどうだろう?
海は影響を受けなかったが、放射能雲は届いていた
その大きさは?
フランスの科学者達は、それを突き止めようとした
パリ近郊
「大事故… そう 大惨事でした」
IRSNは福島由来の放射能雲の通過コースをシミュレーションした
これがその結果だ
「プルームは太平洋に広がり、北米大陸に向かい
合衆国とカナダの間 そしてカリフォルニアの
アメリカ沿岸に達しました
そのまま北米大陸
特にアラスカに広がりました
ボストンから大西洋に抜けます
北極圏からも広がっています
そしてスエーデンから北欧に入ります
東欧に達し 南北と東西に流れながら
徐々にフランスにも広がりました」
「フランス人に危険はなかったのですか?」
(オリヴィエ・イスナール フランス放射線防護原子力安全研究所・放射線防護課副課長)
「ありません。十分に低いレベルでしたから」
「ヨーロッパに住む人には 健康被害は出ません」
だが独立の立場の専門家は、そんなに簡単な問題ではないと言う
確かにヨーロッパの放射能汚染は、少なかったが
リスクは現実だったと、クリラッドの専門家は言う
「フランスの住民も、福島の放射能をある程度受けました」
「呼吸と食物を通してです」
「幸い、 チェルノブイリの時の1000分の1程度でしたので
例えば安定ヨウ素剤の服用と言った勧告を行なう必要はありませんでした
とはいえ、あらゆる追加被ばく量は、健康リスクを上昇させます
ですから、長期的な目で見て、影響がないと断言することは不可能です」
「これは日本以外の世界中の人に言えることです」
ふたたび日本
南相馬市 福島原発から20km
いわもとてるおさん 退職者
三歳の時から、地元の川で釣りをしている
祖父に教えてもらった
彼の生活スタイルなのだ
「ナマズ」
「食べられますか?」
「いいえ」
「どうして?」
「放射能に汚染されてます」
「たぶん1000ベクレル近く」
「危険ですか?」
「ええ 今の日本の基準が、100ベクレルです」
「太田川は900とか、1000ベクレル出てます」
いわもとさんは鰻釣りの名人だ
日本人の大好物だ
しかし高濃度汚染しているので、もう食べられない
自宅に戻って、検査するために鰻を切り刻む
原発事故以来
彼の趣味は終わった
「定年退職して、人生を、これから楽しもうと思っていました」
「まさにその時 原発事故が起こったんです」
「こんなこととは、関係なく生きたかった」
「放射能測定なんてこととは…」
「いつかまた川の魚を、食べられる日が来ますか?」
「私の生きている間は、来ないでしょう」
いわもとさんは自主的に、放射能測定を行なっている
それが義務なのだと言う
未来の世代が、この悲劇を繰り返さないように
故郷の川と…
これほど多くの人生を
破壊してしまった悲劇